2011年6月27日月曜日

住友電気工業の新型二次電池「溶融塩電解液電池」開発に注目

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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住友電気工業の今次総会報告には新型二次電池「溶融塩電解液電池」開発成功を特報している。流石に気配りが周到で、「二次電池とは、充電して繰返し利用できる電池です」、「溶解塩とは、酸とアルカリの中和反応などによりできる塩(えん)が液体となったものです」と解説している。この開発の意義を次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 住友電気工業は、不燃性や不揮発性等の特長をもつ溶融塩のみを電解液に使用した新型二次電池「溶融塩電解液電池」を開発した。溶解塩は、塩を溶融状態に保つために高温が必要であり、これまで、100℃未満に融点をもつものは実現していなかった。住友電気工業は、京大と共同で57℃という低融点の溶融塩を開発すると共に、長年培った二次電池システム化技術を用いて、高エネルギー密度および不燃性について特長をもつ二次電池を開発した。
2. エネルギー密度については、290Wh/Lという高エネルギー密度を実現している。エネルギー密度とは、電池の体積1L当たり充電可能電力量である。
3. 不燃性については、不燃性材料のみで構成し、地震などの事故衝撃による外部空気の混入に対しても発火しない。
4. 防火・防爆装置が不要で、電池間を詰めて配置可能であり、組電池を小型化できる。同一電力量において、体積はリチウムイオン電池の半分、ナトリウム硫黄電池の4分の1である。(SANARI PATENT考察: 住友電気工業の売上高構成において自動車関連が46%を占めるが、今後電気自動車の開発競争が全世界で激化する趨勢において、電池の小型化は決定的に重要である)。
住友電気工業の2011-03期業績は、売上高2兆0338億2700万円で前期比8%増、営業利益は1038億1000万円で倍増、経常利益は1290億9900万円で89.3%増、純利益は706億0800万円で2.46倍と好調だが、スマグリ(次世代電力網)、超高速光伝送技術など研究開発を新成長分野に傾斜し、海外展開(中国江蘇省に切削工具の量産拠点設立)(住友電気工業の海外比率・現44%)や、新処理法によるタングステンリサイクルプラントの稼働開始による超硬工具の国内リサイクル体制確立によって、「2012年度目標の売上高3兆円、営業利益2100億円の達成に向けグル-プ一丸となって邁進する」と松本正義社長は挨拶しているが、括弧内の数値はかなり目標的と思われる。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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