2010年12月26日日曜日

 武田薬品工業  専用実施権 特許権

武田薬品工業を専用実施権者とするエティファーム特許権の存続期間
弁理士 佐成 重範   ケータイ検索 SANARI PATENT
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知財高裁の審決取消請求事件判決(2010-12-22)として、原告・エティファーム、被告・特許庁長官の「平成21年(行ケ)10062号」事件は、「特許権存続期間の延長登録出願」に関する特殊な案件であるので、知財高裁の「審決取消」すなわち、原告勝訴判決の理由を、以下に考察する。特許権の存続期間は、出願から20年であるが、医薬品等においては、安全性確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分を受けることが必要となるため、特許発明を実施することができなかったときは、5年を限度として、延長登録の出願によりその特許権の存続期間を延長できる。
エティファームは発明の名称を「急速崩壊性多粒子状錠剤」とし、武田薬品工業を専用実施権者とする特許権について、存続期間延長登録を出願したが、この出願は、武田薬品工業が受けた錠剤「タケプロンOD錠15」(販売名)に関するものである。
上記延長登録は、特許法所定の要件に該当する場合に認められるので、本件訴訟の争点は、この要件への該当性の有無である。
今次知財高裁判決は、次のように判断して原告の請求を認容し、特許庁の審決を取消した。
(1) 特許権の存続期間延長における「特許発明」とは、その条文の記載から明らかなように、一般に「特許を受けている発明」と解され、特定の特許発明に限って存続期間の延長を認められるわけではなく、また、「実施」とは、物の発明にあっては、その物の生産、使用、譲渡、輸入、譲渡の申出をする行為をいう。
(2) 特許請求の範囲の記載によって特定される特許庁発明が、様々な上位概念で記載された場合でも、その物が客観的に明確に記載され、その特許庁発明に含まれるものであることが認識できれば、登録の延長は認め得る。
(3) 特許庁の審決が、「医薬品についての処分が特許発明の実施に必要であったというためには、少なくとも、その処分によって特定される「物」すなわち「有効成分」が特許発明の構成要件として明確に特定されていることを要する」としていることは、知財高裁の上記判断に反する。
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