2010年12月21日火曜日

Google-Yahoo提携と電子出版が著作権法改正加速

弁理士 佐成 重範   ケータイ検索 SANARI PATENT
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文部科学省の文化審議会が、ようやく著作権法の一部改正に動き始めたが、社会経済、特に技術的イノベーションが法体系の改変をもたす顕著な事例となることを切望する。Google-Yahoo提携と電子出版が、その最大の起動力である。
Googleは、「全世界の情報の組織化と、それへのuniversalなaccess可能性」を企業理念として、Google-Map、Google-Earth、Google-Booksなどを次々に実現してきたが、旧弊な既存権益との摩擦を伴う場合もあり、世界市民の支持がこれをGoogle側の優勢に向けて支持したことは、疑問の余地がない。
日本国民としては、例えば著作権の体系が国際調和を欠くために電子書籍・電子出版の、日本における展開が米国等に後れを採ることは極めて国益に反すると自覚すべきである。米国著作権法の「Fair-Use」条項を日本著作権法にそのまま入れるべきであるのに、既存権益がそれを妨害して、内閣知財戦略本部の熱意を阻害してきた。今次文化審議会は、ようやく若干の改正を試みそうだが、案を見ると不十分と考えざるを得ない。第2次・第3次改正が必須である。
弁理士の非専権業務として著作権法関連業務が法定され、弁理士試験のテキストにもベルヌ著作権条約が必掲されるようになったが、1886年に締結されたこの古い条約が、既得権益擁護の要砦とされてきた。著作権の対象である「著作物」はしかし、技術革新が著しく、革新の都度、旧体制著作権法との相克に悩まされ続けてきた。しかもその悩みの態様が、各国著作権法の不調和によって増幅されてきた。電子書籍・電子出版が、米国では発達しているのに、日本ではこれからというのは、まさに「Fair-Use」条項の有無が原因である。例えば電子書籍では、電子化された書籍数が、利用価値すなわち利用者数を決定するのに、日本では「著作権者許諾」の規定に阻まれて、電子化自体が極限されている。
電子書籍・電子出版の促進いかんは、国際競争力をも左右する。内閣・政府機構が最優先すべき具体的課題は、「Fair-Use」条項の米国並み設定である。
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