2008年5月15日木曜日

Reverse Engineering of Computer Program

Reverse Engineering of Computer Program :コンピュ-タ・プログラムのリバ-ス・エンジニアリングの適法性検討を早急課題に(内閣IP本部調査会)
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 検索サービスについて内閣知財戦略本部の調査会が検討(2008-5-14記事)

 内閣知財戦略本部・デジタル・ネット時代の知財制度調査会が。5月会合において早急解決課題の一つとしたのが「コンピュ-タ・プログラムのリバ-ス・エンジニアリングの適法化」である。この問題が発生するのは、コンピュ-タ・プログラムが特許権と著作権の双方の対象であることに基づく。
 以下その検討内容を考察する。

1. 課題の概要(SANARI PATENT要約)
1-1 技術の発展には、他社製品を解析し、その製品に化体された技術を理解するリバ-ス・エンジニアリングが不可欠である。このため特許法は「特許権の効力が及ばない範囲」として、「特許権の効力は、試験・研究のためにする特許発明の実施には及ばない」と定めて、特許権を制限している。
1-2 しかしながら、コンピュ-タ・プログラムについては、リバ-ス・エンジニアリングの過程で生ずる複製や翻案が著作権侵害に該当するおそれがあるため、プログラムの脆弱性発見・修正のためのプログラム解析等に委縮効果が作用している。
1-3 欧米ではFair Use(フェアユ-ス)規定等に基づいて、相互接続性確保のためのリバ-ス・エンジニアリングは権利侵害に当たらないとされ、かつ、プログラムの脆弱性発見・修正のためのプログラム解析も広く行われており、わが国の現状を放置したままでは、革新的なソフトウェアや情報セキュリティの確保に 際して著作権法が障害となる結果も想定される。
1-4 従って、わが国の主要な情報産業事業者が加盟する(社)電子情報技術産業協会(JEITA)からも、知的財産推進計画2008において「リバ-ス・エンジニアリングを広範に認めるべく」、「コンピュ-タ・プログラムの研究開発、性能の検証、バグの発見・修正、相互運用性確保等を目的とする他社コンピュ-タ・プログラムの複製・翻案を可能とする権利制限規定を積極的に検討すべきである」という意見が提出された。
1-5 このような状況を踏まえ、少なくとも相互接続性や情報セキュリティ確保のためのコンピュ-タ・プログラムのリバ-ス・エンジニアリングに必要な範囲において、その過程で生ずる複製・翻案を行うことができるよう、早急に法的措置を講ずべきである。

2 SANARI PATENT所見
2-1 上記1-3のフェアユ-スを米国について見る。米国著作権法のフェアユ-ス条項(第107条)も具体性を欠くという見方があるが、少なくともわが国著作権法が第1条の「法の目的」規定にのみ「公正」の語を用い、「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図る」とするにとどまるのに対して、米国においては、既に1841年Folsom V.Marsh判決により4つの判断要素が判示され、これが実質的に1976年著作権法に条文化されていること、1976年著作権法はさらに「批評・解説・ニュ-ス報道・教授・研究・調査」をフェアユ-ス該当として明示していること、そして何よりも現に、コンピュ-タ・プログラムの研究開発や検索サービスの世界市場制覇的発達を見ていることに、著作権制限の在り方のイノベーション適合を見るべきである。
2-2 なお上記2-1の判断要素は次のように定められている
2-2-1 抜粋の性質・目的=利用の目的と性格(利用が商業性を有するか、非営利の教育目的か
2-2-2 著作権対象著作物の性質
2-2-3 利用された部分の量と質=著作物全体との関係における利用された部分の量および重要性
2-2-4 原作品の売上の阻害、利益の減少、目的の無意味化の度合=著作物の潜在的利用・価値に及ぼす影響
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Reverse Engineering、Computer Program、JEITA、Fair Use、米国著作権法

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