2008年5月25日日曜日

USA CAFC Decision on Patentability of Stem Cell Related Invention

USA CAFC Decision on Patentability of Stem Cell Related Invention:米国連邦控訴裁判所(CAFC)の幹細胞関連発明に対する特許性判断
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 経済産業事務次官定例記者会見(2008-5-24記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 生物多様性基本法の成立と遺伝子組換生物

 幹細胞の一系統に属するiPS (誘導多性能性幹細胞)の再生医療適応性、ひいてはその関連特許の経済価値の大きさがグローバルに論議され、特許競争の構えが諸企業・諸国で構築されているが、関連特許をめぐる法的動向に関する具体的なケーススタディの公表が活発でない。
 丁度、日本弁理士会のパテント誌の最近号が届いたが、Scott Daniels 米国弁護士、井出久美子米国弁護士、吉崎修司弁理士の共著で「医薬品発明に対するKSR判決の適用について」と題する論説(以下「今次KSR論文」)が掲載され、幹細胞関連発明の特許性に関する米国連邦控訴裁判所(CAFC)(SANARI PATENT注:一応、わが国の知財高裁と略同等)の2007年判決が引用されているので、要約し考察する。
 なお、米国最高裁のKSR判決は、自動車の制御機構に関する発明の特許性について、非自明性要件(SANARI PATENT注:わが国特許法では「進歩性」要件)の審査基準を判示したものであるが、極めて簡略化した表現をすれば、「従来技術からの容易想性判断を厳格指向にしたもの」、すなわち、「真の革新ではなく、日常的な過程において起こる進歩に対して特許付与することは、進歩を遅らせる」という見地に立っている。
 SANARI PATENTが今次KSR論文を高く評価するのは、第一に業種分野を超えて非自明性要件の適用を論じたこと、第二に、その適用例として、現在最も世界的関心の的となっている幹細胞関連のCAFC(The United States Court
Of Appeals for the Federal Circuit)の2007判決を引用したことである。

1. 今次KSR論文(SANARI PATENT要約)
1-1  米国最高裁はKSR判決において、非自明性判断のためにCAFCが適用した要件、すなわち、先行技術を組合わせてクレーム発明に至るための「厳格な教示・示唆・動機付け」の要件を課するしたを否定した。(SANARI PATENT注:極めて簡単に表現すれば、「従来技術による教示・示唆・動機付け」の存在を厳格に判示さなくても、自明性によって特許性を不定できるということである。)
1-2  製薬業界には、KSR判決は無関係と考える向きもあるかも知れない。KSR事件は単純な機械装置の発明に関するもので、いわば公知の複数のエレメントを、その予測される機能を果たすように組合わせたものである。一方長年、裁判所は、製薬関係における非自明性を認識しており、製薬開発では、予期できなかったり、知られざる効果を発揮することがしばしばあると考えられていたようである。従って従前は、仮に公知事実の組合せであったとしても、特許無効を立証することは必ずしも容易ではなかった。(SANARI PATENT注:この辺の観察は、論者によって異なるであろう)。
1-3  しかしながらKSR判決以来、CAFCは製薬特許についても、従来技術の組合わせである場合に自明であるとして特許無効を認定している。
1-4  Pharmastem Therapeutics Inc vs. Viacell Inc et al.事件判決(491 F.3d 1342:Fed.Cir.2007)
CAFCは、「臍帯血に高濃度な幹細胞が存在するか否かに関して、その存在を示す決定的証拠が従来技術に示されていなくても、当業者は本事件発明の発明時点において、その存在を合理的に予測できた、と判断し、非自明性を否定した。

2. SANARI PATENT所見
要するに、KSR判決以前に比べて、幹細胞関係発明についても、特許性が厳格に審査されるという事例である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
CAFC、Stem Cell、米国最高裁、KRS、幹細胞、再生医療

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