2010年5月16日日曜日

President Iwata of Nintendo Prospects World Game Market 

任天堂岩田社長の世界ゲーム市場予測
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 デジタル時代における日本の代表的対外ソフトパワーとして、内閣知財戦略本部等が強調するデジタルゲームの市場トレンドはどうか。任天堂の決算発表における任天堂岩田社長の応答(2010-05-09)(SANARI PATENT要約)を考察する。
Q 
(1) 岩田社長は、2010年のゲーム市場と、その中での任天堂のポジションをどのようにご覧か。
(2) コピープロテクションの問題について、欧米の投資家から多数の照会があるが、ダメージの試算額はあるか。
(3) 新しい3DSについて新しい方法によるプロテクションシステムを入れる考えはあるか。
(4) 現在、ハード1台当たりのソフト販売本数が、過去のゲーム機に比べて非常に低い印象がある。この水準は、カジュアルな購入層が中心である以上、やむを得ないという理解か。あるいは、かなり大型のタイトルが3本揃った後ということもあり、コアゲーマーに対して、これからどういうアプローチが必要と考えるか。
(5) カジュアル層を拡大するための価格戦略はどうか。
A
(1) ゲーム市場の見方については、「お客様が、ものに飽きていく速度が非常に早くなっている。従って全体として、ビデオゲームの中で様々な商品の寿命が、迅速に短くなる力が作用している。任天堂は比較的寿命が長い商品を幾つか有するが、全てが任天堂のシナリオ通りにはいかない。任天堂としては、次々と新しい刺激があって、ビデオゲーム機の活性が高い状態を保持したい。
(2) 違法なコピープロテクト解除による被害額を数えることは、あまり意味がないと思っている。単純に「ダウンロードした数」*「ソフトの市場価格」としても、ダウンロードした人全員が買うつもりだったのを、それで買わなくなったのかというと、必ずしもそうではないと思う。そこに出てくるのは、いわばVirtualな被害総額で、実際にそれが市場として存在したわけではない。
(3) 3DSは、プロテクトの仕組みを変えるチャンスである。
(4) タイレシオが低いということが本当に正しいのか、疑問に思うし、タイレシオだけで判断すべきではない。
(5) デジタルコンテンツは、これからデフレが進むと言われているが、任天堂はエンタテイメント体験の価値を高く認めていただくよう努める。
SANARI PATENT所見
 日本のゲーム機器業界が直面している課題を、網羅的に摘出した質疑応答として参照すべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年5月15日土曜日

Fluctuation and Diversity of Game-Hardware’s Lifecycle

ゲームハードのライフサイクルの多様性への対応
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
7.(承前2010-05-14記事)開発対象の絞り込みについて:
「 現行のWiiに向けて開発を絞り込んでいるのではない。また、一旦ピークを打ったゲームハードが再び活性を大きく取り戻したという事例も、それ程多くはないが、全く無いわけでもない。例えば、『ゲームボーイ』というハードは、一度『終わった』と言われたことがあるが、『ポケットモンスター』というソフトが登場して、ゲームボーイはむしろそこから最大のヒット期を迎えた。このように状況の急変もあるが、任天堂は、確率が一定以上あるものに絞り込んで投資する。」
8.ニンテンドー3DSの仮称について:
「今期中に発売ビジネスので、遠からず正式名称を発表する。」
9.今後の発表次期について:
「発売の具体的な次期によって、発表会を設ける時期が当然変わってくる。(SANARI PATENT考察:「時期」よりも「時機」であろう。その時点の選択が極めて戦略的に重要である。)実際に『この時期に発売します』となれば、発売の然るべき前の時期に、何らかの形で、そのほぼ完成した製品を披露して記者各位に見せる機会を設ける可能性は高い。」
10.新たなハード発表のタイミングについて:
「E3で3DSをお見せしたいと考えていたが、その時に、任天堂しかソフトを作っていないというのは如何なものかと考えた。そうすると、ハードの肝になる機能については社外の人々ともお話しなければならない。しかし、任天堂の経験では、情報の共有範囲を広げると、噂も広がってしまう。すると、任天堂がコントロールできない形で情報が広がっていく。DSからDSiLLに展開したときは、パッケージソフトの基本構造は変わらなかったから、早くから情報の共有範囲を広げないといけないという事情は、あまりなかったが、今回は3DS用の新しいソフトを作らなければならないので、その意味で早めの情報共有が必要だった。しかも今年のE3に出掛けるべきか否かをお考えの皆さんにとって、『新しいハードの発表があるなら行こうか』という方々に、早目に判断していただかなければいけないという事情もあった。これら幾つかの事情を考えると、これ以上延引することはできないというタイミングの判断が必要であった。」
11. 任天堂が秘めておくべきことと、秘めるべき時期について:
「新しいハードを作るときはチャンスであるから、『こうしていれば良かったな』と思い、このようにしたいと思うことが多いが、一方、現役で売っているハードの改良すべき点を発言することは、何のプラスにもならない。様々な心残りは次の商品に活かすというのが開発者の性格である。」(SANARI PATENT考察: 誠に正当な応答で、現行ハードの改良希望事項は質問者が提示すべきであろう)。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年5月14日金曜日

Knowhow of Economizing Develop Cost For 3D Games 

3Dゲーム開発コストの経済性確保
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
(承前2010-05-13記事) 任天堂社長の応答要旨。
1.3D化に伴う開発費増大への危惧について:
「3Dの映像に限らず、新しい娯楽体験を作ろうと思えば、どんな開発者にも試行錯誤が必要で、その試行錯誤の分だけ開発費が増えるかも知れない。しかし一方で、これは開発のマネジメントで解決できる問題である。すなわち、試行錯誤の段階で要員多数を動員してしまうと、開発費が高額になるが、開発初期段階では少人数のコンパクトなチームで実験を繰り返し、手ごたえが出たところで一気に増員し作りあげるならば、それ程、現在の開発費より著増することはないと思っている。」
2.子供にに対する3Dの影響懸念について:
「3Dゲームの子供に対する影響については、任天堂の場合、顧客が立体像の機能をオフにしてゲームできるよう工夫ビジネスから、立体視は苦手な人でも、子供の眼が心配な人でも、影響を自分で回避できる。」
3.米国展示でのサプライズについて:
「2010-06-15~17に米国で開催されるElectronic Entertainment Expo.に任天堂演出のサプライズがあるかどうかについては、どちらとも申し上げられない。事前に期待を高め過ぎても良くないし。」
4.次期3Dゲームの在り方について:
「3DSというプラットフォームを作るときには、『ある程度豪華なゲームから非常にカジュアルなものまで、幅広いもの』がそのプラットフォームに集うようにしたい。」
5.Open Innovationについて:
「任天堂が何でも社内でやろうと思い過ぎることは危険で、他社と巧みにアライアンスを組み、開発の速度を上げたい。現に話し合いを複数件、始めているが、勿論、相手方の都合もあり、また、当方も準備を整えて臨むべきものである。」(SANARI PATENT考察: いわゆるClosed Innovation のみでなく、Open Innovationをも選択志向するという意味と解する)。
6.数量的目標の設定について:      
「今朝の新聞に見出しで、『Wiiハードが限界』とか『不調』とか買いてあったが、年間2000万台は高いハードルと思う。今回任天堂が計画として掲げている1800万台も、このコンソールが発売されてから4年経過していることを考えると、それなりに高い目標と考えている。」
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年5月13日木曜日

Nintendo’s Strategy for Three Dimension Digital Game 

3Dゲームによるゲーム人口増と開発費について任天堂の考え方
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 3次元ゲームが3Dテレビと前後してグローバルに流行するが、任天堂の岩田 聡社長は、決算説明会(2010-05-07)での質疑に対して次のように応答している(SANARI PATENT要約)。
Q1 3Dのゲームは、岩田社長が言われるようなゲーム人口の拡大に本当に繋がるのか。3Dゲームはヘビーユ-ザ-寄りという印象を強く持っているが、どう考えるか。また、3Dになるとゲームの開発費はどの程度増額するか。ハードの記憶所要量が著増し、チップ・ソフトの値段も上昇すると思うがどうか。また、子どもの身体に与える影響はどうか。
A1 任天堂がビデオゲームを提案するとき、基本的には現在、任天堂は、『ゲーム人口の拡大』を掲げて5歳から95歳の人が楽しめるようソフトを考えているから、任天堂が作るソフトは当然、幅広く、年齢・性別・ゲーム経験を問わないものを主軸に据える。従って、『3Dはヘビーユ-ザ-寄り』とは決して考えていない。次に、『3Dになると開発費が増大するのではないか』という質問については、ゲームが元々本当の3D空間として作られていれば、カメラの位置を左目と右目にそれぞれ合わせて2回絵を描けば3D空間の立体映像を作ることができるので、3Dの世界に既になっているゲームを3D化することは、難しくない。3Dの世界になっていないものを3D化しようとすると、多少コストを要するであろう。」
「しかし任天堂は、開発コストに課題の本質が有るとは、実はあまり思っていない。立体映像にすれば当然ゲームが面白くなるのではなくて、立体映像の中でインタラクティブな体験をする、『こういうことが面白いのだ』ということとセットで提案されて初めて。娯楽としての価値ができると思う。」
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

ラベル: