2014年3月22日土曜日

東芝が知財高裁で勝訴、対特許庁長官、蛍光体関係発明の特許性


佐成 重範  Google検索 SANARI PATENT
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東芝は「蛍光体およびそれを用いた発光装置」発明について特許出願したが特許庁から拒絶査定を受けたので、その査定に不服として、特許庁に拒絶査定不服審判を請求したが、東芝の審判請求は不成立と審決された。よって東芝は、この審決の取り消しを知財高裁に訴求したところ、知財高裁は「特許庁の審決を取り消す。訴訟費用は被告・特許庁長官の負担とする」と判決し、東芝が勝訴した(本件東芝・訴訟代理人・手塚史展弁理士ほか5弁理士。平成25年行ケ10118。判決
言渡平成26年2月24日)。争点は、明確性要件および実施可能要件についての判断の当否である。
知財高裁は、「東芝が示した各原子の組成比が化学量論的に成立するためには各変数が連関することが必要とは言えず、また、その一般式がどのような化合物を意味するのか、不明であるとも言えない」「無機化合物から成る蛍光体において、その組成比が不定比となるものが存在することは技術常識であり、東芝が示した一般式が技術的意義に欠けるものとはならない」「同じ不定比組成物質であるにもかかわらず、蛍光体についてだけ化学的な説明を要求する根拠はなく、不定
比組成物質であることを考慮に入れられないという実質的な理由はない」「当業者が解することができる範囲内のもとして特定できれば、各元素間の組成を制約する条件を逸脱しているとは言えない」「東芝の記載の一部が技術的に意味不明ということはできない」「東芝がいう僅かなずれは、単位格子の結晶構造が2回螺旋軸を有することを否定する根拠となるものではなく、特許庁長官の主張は採用できない」「東芝の発明内容説明の一部は、明細書に記載するまでもなく、当
業者にとって技術常識である」「当業者が東芝発明を実施することが困難となるとは考え難い」などの判断を示し、東芝の請求には理由があるとして、東芝勝訴、特許庁長官敗訴の判決を下した。
佐成重範弁理士所見→このような結果を特許権の不安定性と考えることは誤りであり、特許庁の審査・審判が覆される場合が保証されていることを、法的安定性として堅持すべきである。
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