2013年5月8日水曜日

知財権のグローカリズム(Glocalism→Globalism+Localism)



弁理士 佐成重範 Google検索 SANARI PATENT
グローバル化が世界経済発展の合言葉になっていると共に、世界諸国域の地域特性によるニーズ多様性への即応が、世界経済発展の要件であり、従って、両者を合わせたグロカリゼーション論が活発である。グローバリゼーションによる世界均質化と共に、国域特性に即応するローカリゼーションを重視する論として、グローカリズムの主張にも注目すべきであろう。
TPPを始め、特許権等の知財権については、グローバリズムが技術普遍性等の見地から先進国で優勢だが、SANARI PATENTは、Prof.Joseph E Stiglitz (現コロンビア大学教授・2001ノーベル経済学賞受賞)の「巨大製薬会社の特許権にインドが下した賢明な判断」(ダイヤモンド誌2013-05-11)論説を、特許権に関するグローカリズムの事例として、知財専門家の注目を喚起する。
その要旨をSANARI PATENTは次のように解釈する。
1.     スイス・ノバルティス社の抗癌剤グリベッグの特許権維持を、インドの最高裁が却下したことは、安価な後発医薬品の使用を可能にし、インドの癌患者にとって朗報だ。他の途上国もインドに倣えば、朗報だ。だが、インドの判決は、大規模な多国籍製薬企業にとっては利益の減少を意味し、「イノベーションのインセンティブを破壊する有害なもの」との反発を生んでいる。
2.     強力な知財保護の福祉に対する影響は定かでないと、長年みなされてきた。特許独占はイノベーションを促進するが消費者価格の高額・知識へのアクセス縮小によるイノベーション鈍化など、大きな代償を伴う。
3.     これらの要因の、それぞれにどのような比重を置くかは、状況と優先順位によって決まり、国域により、また時代によって異なる筈だ。
4.     インド政府は、途上国に、特許保護を制限する、ある程度の柔軟性を与えるTRIPS協定を踏まえている。
5.     世界全体で、もっとバランスのとれた(薬品へのアクセス可能な価格など)知財体制が必要だという認識がたかまっている。TPP等は、合理的薬価へのアクセスを縮小し、経済の成長と発展に大きな影響を及ぼす惧れがある知的財産条項を含んでいる。
(訂正の御要求は sanaripat@gmail.com に御送信下さい)

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