2012年6月6日水曜日

日本たばこ産業(JT)の子会社・鳥井薬品の共同開発戦略

鳥居薬品の業績増進、親会社や他企業との共同開発分担

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT

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鳥居薬品(東証1部)の総会通知が届いた。ダイヤモンド社・世界業界マップ2012の医薬品売上高ランキングでは、日本でトップの武田薬品(1兆1517億円)もやっと15位がから、鳥居薬品(487億円)は小規模タイプの優良会社と評価されるであろう。会社四季報も、「鳥居薬品は、JT傘下。自社製品の腎・透析、アレルゲン等の開発強化。抗HIV薬など導入品の成長に注力」と特色付けている。

鳥居薬品の今次報告は、堅実な総合知財戦略の典型とも言えるが、その内容(SANARI PATENT要約)は、

1. HIV(SANARI PATENT注:Human Immunodeficiency Virus; ヒト免疫不全ウイルス)領域および腎・透析領域を、事業成長の牽引役として育成する。

2. 領域別製品別プロモーションを徹底し、製品のライフサイクルマネジメントを強化した。

3. ナルフラフィン塩酸塩の肝疾患に伴う痒症を適応症とする共同開発の解消に伴う受取返戻金を特別利益に計上した。

4. 親会社である日本たばこ産業との研究開発機能分担において、新規化合物の研究開発機能はJTに集中し、鳥居薬品においては、主として既存製品の剤形改良や効能追加等の機能を担うと共に、鳥居薬品が得意とする領域における研究開発を実施している。

5. 杉花粉免疫療法薬の臨床試験を実施中である。

6. JTと共同で米国ケリックス社から導入し共同開発中の高リン血症治療薬の臨床支援を実施中である。

7. ALK社から導入したダニ抗原免疫療法薬の臨床試験中である。

8. 理研と、杉花粉免疫ワクチンを共同研究している。

9. 東レ・JTと共同開発していた痒症薬品の共同開発を解消した。

佐成重範弁理士所見→鳥居薬品が今後の方策として、「既存製品のシェアの維持拡大」「新規販売品・開発品の獲得」「研究開発」「市販後安全対策」「コスト競争」「マネジメント力」「人的競争力」を掲げていることは適切であり、その具体化についても今次報告で示していることを好感する。

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