2012年3月26日月曜日

「出版者の権利」の在り方について日本書籍出版協会・日本雑誌協会意見

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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書籍や雑誌を含む電子流通化のグローバルな進展下において、紙印刷文化における出版企画を始め在来型コンテンツの発達に枢要な機能を果たしてきた出版者の権利を、どのように考えるべきか。新年度知財計画策定中の内閣知財戦略本部に提出された日本書籍出版協会・日本雑誌協会意見のうち、「考え方」部分(下記)を要約・考察する。
1. 歴史的には、著作権は出版業者の安定的な活動を保障するために生まれたとも言われているが(SANARI PATENT考察: 米国憲法の著作権条項に明示されているように、著作者の創出に対して権利を付与することが連邦政府の義務と明定されており、発明と同じく、思想等の「創出」に対して権利を付与するものではるが、動機ないし結果として、出版者の保護も歴史的にあったかと考える)、技術の発達と著作物の利用形態の多様化に伴って、その権利が拡大され、著作物の伝達に重要な役割を果たしている者に対して、著作隣接権が新しく与えられるようになった。
2. これらの動きには、産業保護の観点から各国が共通して取組んだ事例もあり、時には国際条約の枠を超えて、自国の権利者を保護するために、日本が独自に権利を創設した事例もある。前者の例が1970年の現行法制定に伴う著作隣接権であり、後者の代表的な事例が、1997年に創設されたインタラクティブ送信に係る自動公衆送信・送信可能化権である。
3. この法改正は、著作権法の理念である利用と権利保護のバランス感覚の中で、文化の発展のため行われた日本独自の処置で、法改正当時は、世界でも画期的なものと言われた。
4. 政府がクールジャパン戦略の促進と、出版業界の活性化を真に願うなら、1999年の著作権法改正と同様に、必ずしも諸外国の法制度では例が多いとは言えないとしても、出版者の権利(著作隣接権)創設に真剣に取組むべきである。
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