2012年3月20日火曜日

ベンチャー企業投資の多様化と、経済産業省による動向解析

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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世界経済の動向を「見極める」ことは難しいが、為替や株価の変動は様々に解釈され、更に多様な展開に導く。いずれにせよ、各国域の活発な経済成長が、ベンチャー企業の続発とその高成功率によって起動・発展することには疑問の余地なく、各国政府は制度面においても、これを支援する強い意欲を示している。日本の場合は、経済産業省の「未上場企業が発行する種類株式に関する研究会」がその例で、企業委員として野村総研・大崎貞和主席研究員、パナソニック樺沢 哲・コーポレートR and D戦略室参事、アント・キャピタル・パートナーズ高階匡史ベンチャーキャピタル投資グル-プ・マネージングパートナー、ジャフコ豊貴伸一社長が参画している。昨年末の報告内容(SANARI PATENT要約)は、
1. ベンチャー投資は、単なる資金の供給ではなく、ベンチャー企業とベンチャーキャピタルが共にリスクを負担しながら、新しいものを創出する共同事業であるべきである。
2. 「種類株式」を利用することにより投資家は、投資リスクをコントロールでき、創業者は、持分株式の希薄化を抑えつつ、必要資金を調達できるなど、双方の権利を尊重しつつwin-winの関係で資本形成することが可能になる。
3. 米国等では、ベンチャーキャピタルを始め投資家は、種類株式によりベンチャー企業に出資することが一般的である。一方、日本ではこれまで、ベンチャー企業が、ベンチャー投資を始めとする外部投資家から資金調達する際には、普通株式を用いることを通例としてきた。商法・会社法改正により定款自治の理念のもとで、より自由な種類株式の発行が認められ、種類株式による資金調達が徐に現れているが、普通株式による投資モデルの定着や税務上の問題もあり、種類株式による投資は未だ十分に定着していない。
4. 翻って、ベンチャー企業を取り巻く現状について、わが国のベンチャーキャピタルによるベンチャー企業企業向け年間投融資額は、2007年度以降3年連続で減少し、2009年度には、2005年度以降で初の1000億円割れ(975億円)を示した。2010年度には、投融資額が増加に転じたものの、未だ低水準である。その背景には、新規株式公開(IPO: Initial Public Offering)に依存してきた資金回収戦略が難かしくなったことや、ベンチャーキャピタルの業績悪化による投資余力の低下に加えて、長引く景気低迷による投資}先ベンチャー企業の業績不振が重なっている。
5. 一方米国では、過去最大であった2000年対比では減少しているが、2009年には1.8兆円の実績を示している。
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