2012年3月16日金曜日

中国実用新案文献の和文抄録データ提供:来る19日、特許庁開始

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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「増大する中国文献への対応について」と題し、「中国文献の和文抄録データの提供開始」と副題して、特許庁が次のように発表した(2012-03-14)(SANARI PATENT要約)。「文献」という表現で、文献の種類を標記していないのは、当面、中国の実用新案に限定し、中国の特許については検索可能な環境の整備を進める予定の段階に、現時点では留まっているからである。
1. 現在、世界の特許文献において、中国の文献が急増しており、企業にとって、中国文献へのアクセス性をいかに担保するかが、緊要な課題になっている。特許庁は、その対応として、日本語によるアクセス性を向上する。
2. 先ず、特許電子図書館(IPDL)を通じて、機械翻訳で作成した中国実用新案和文抄録データの検索・照会サービスを開始する。
3. 特許庁は今後、中国特許についても、日本語で検索できる環境の整備を進める。
4. 中国では、実用新案は無審査登録され、訴訟被提起など、企業のリスクが高まっている。既に、実用新案権に基づく知財訴訟の事例として、実用新案権侵害訴訟に関し、フランス企業側が中国企業に、1.5億元(20億円)を支払うとして和解(2009-04)。
5. 特許庁は、近年急速にリスクが高まっている中国実用新案への対応を進めるため、中国国家知識産権局(SIPOと協議し、2011-09の日中特許庁長官会合において、中国実用新案の英文抄録データの交換について合意した。
6. 従って今回、中国文献への次なる対応として、日本語キーワードによる検索が可能な環境を提供する。具体的なサービス内容としては、当面早急な対応を要する中国実用新案に対して、機械翻訳システムを用いて中国実用新案の英文抄録データから和文抄録データを作成し、IDPLを通じて提供する。これにより、日本語の検索ワードを入力することにより、そのキーワードを有する和文抄録データを検索し、その内容を確認できる。
7. 2012-03-19の上記サービス開始時には、約5万件が検索・表示可能となる。平成24年度中には、過去10年分に当たる100万件超の和文抄録データを検索し、その内容を確認できるようになる。
佐成重範弁理士所見→実用新案権は特許権と同様の独占権を持つが、その権利付与に審査主義と無審査主義が併存して、属地主義による各国益の保護に繋がる可能性があり、国際調和を要する緊急課題となろう。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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