2011年12月25日日曜日

日本の知財戦略はTPP、FTA、ETAに、どう対応すべきか

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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来年度の知財推進計画案を内閣知財戦略本部が策定しつつあるが、TPP、FTA、ETA対応という視点からの検討項目の表示が見られないことは不可解である。これらの協定および協定案に共通するコンセプトは、有形無形資産の交流を平等に無制限化することであり、投資の自由化、関税差別撤廃、知財権付要件の相互平等化など、規制の撤廃ないし平等条件化を実現することが、加盟国全ての利益になるということである。知財権について考えると、これら協定の結果、知財権付与の対象となるべきものに対しては、どの加盟国も等しく対象とすることを約定するものである。例えばA国では基礎物質の製造産業が十分発達していないので、物質特許は付与しないとか、A国内出願の実用新案権を無審査で付与し、これを侵害する他国からの製造・販売業進出を阻止するような制度は、協定違反となる可能性が高いから、A国の立場からは具体的交渉のテーマとなる。
要するに、先進国間では全資源交流の阻害・規制・保護を平等化しようというものであるから、関税は提言ないし撤廃に、保護は同一水準に、ということになる。わが国にとって、その影響は軽微なものもあり、重要なものもあり、得策なものもある。
特許法について佐成重範弁理士がその事例を挙げるとすれば、米国特許法のように、特許付与対象の発明を、法文上は「自然法則を利用した発明」に限定しないようわが国特許法を改めることは、現にプログラム特許も「自然法則利用」と扱っている弾力性か考えれば、影響軽微である。医療行為の発明に特許を付与するかどうかは、米国等では肯定だが日本では否定、ただし米国では侵害差止めについて特則あり、健保とも関連。識別子権である商標権については、日本の商標法は視覚依存の識別に限定され、欧米や韓国が、聴覚や嗅覚依存の識別にも商標権の根拠を認めていることが問題となる。
著作権については、Fair Use規定の認否は極めて重要な問題である。
TPPを契機として、知財の国際比較を先ず徹底すべきである。(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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