2011年11月28日月曜日

ヒト特異的毒性を発現する物質についての毒性予知試験方法

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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財団法人・食品薬品安全センター秦野研究所の年報34巻をお贈りいただいた。佐成重範弁理士が同法人の常任監事を務めたのは1982年から1991年にかけてで、その後の、関連学会や業界の動向の著しい変化を推察すると共に、本質的に不変な基本的考え方(種差など)は不動であるとの考えも、固くしている。
上記年報には、トピックスとして、田中憲穂・佐々木澄志の両氏により、「新しい安全性試験の必要性と、その特許取得による受託研究機関の活性化」と題する論考が発表され、知的財産権の側面からも物質の安全性(SANARI PATENT注: 日本では「安全性」と称し、欧米では「毒性」と称して「Toxicology」の発達が著しいが、対象・内容は同一)試験機構の在り方に関する示唆も示された。先ず両氏論考を起動したTGN1412事件について両氏は次のように解説している(SANARI PATENT要約)。
1. TGN1412事件は、2006年に英国で発生した、臨床試験における薬害発生に関する。一般に、分子標的薬は特異性が高いため、標的細胞以外には影響を及ぼしにくく、副作用が少ないと考えられてきたが、そのように考えられない副作用現象も発現してきた。
2. 英国におけるTGN1412事件の場合は、臨床試験に先立つ動物試験によって安全性が認められたのに、ヒトに投与して死亡の結果まで発現したので、ヒト特異性の問題、すなわち、類人動物を含めても、動物試験の結果をもってヒトに対する作用を即断できないヒト特異性の存在が改めて注目されるに至った。
3. 従って、今後はヒト特異性に対応できる前臨床試験の方法の創出を促進するため、特許付与を含めて、プロジェクトを遂行することが緊要である。
佐成重範弁理士所見→ 種差はヒト間でも見られるが、動物試験やその代替法試験の結果に基づき、臨床試験が極めて慎重なプロトコルによって実施されてきたことは言うまでもない。一方、新たな物質の開発が続出することは経済社会のイノベーションため必要であり、ヒト特異性についての発明は例えば、小野薬品工業の「化合物のスクーリーニング方法」(特許庁公開日2009-08-06)が、その課題として、「従来の毒性試験では予測が困難であった、ヒト特異性肝毒性を発現させる化合物について、その肝毒性を高精度で予測することが可能であり、かつ、複数種のバイオマーカーを利用して汎用性を高める方法を提供する」(SANARI PATENT要約)としていることにも見られる。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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