2011年11月19日土曜日

スズキとフォルクスワーゲンの包括契約解除関連情報の追跡

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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超国境の企業提携が益々活発化する趨勢下、関連トラブルについても精確な知識を蓄積することが、知財戦略上も必要である。この意味で先ず、昨日(2011-11-18)の、スズキ・鈴木 修・会長兼社長の標記関係コメントを見る(SANARI PATENT要約)。
1. 本日(2011-11-18)、スズキはフォルクスワーゲンとの提携を解除した。今後スズキは、仲裁を通じてフォルクスワーゲンに、株の返却を求める。このような手段を採ることは残念だが、フォルクスワーゲンに対して、何度にも亘り協議を通じた解決を求めたのにフォルクスワーゲンは応ぜず、上記選択をせざるを得ない。提携合意の際、フォルクスワーゲン会長と握手を交わしたにもかかわらず、合意したものへのアクセスを認めるというフォルクスワーゲン会長の約束が守られないことは大変残念である。
2. フォルクスワーゲンの協力が得られず、合意したことをフォルクスワーゲンが実行しないのであれば、提携を継続する意味がない。また、提携を終了するのであれば、フォルクスワーゲンがスズキの株を持ち続ける根拠もない。
3. スズキは、両社が、互いのビジネスを制約しない、互いに独立した関係に戻す。このスズキの考えをフォルクスワーゲンが尊重するよう、フォルクスワーゲン会長に働きかける。
上記コメントは、スズキの「フォルクスワーゲンAGとの業務提携及び相互資本関係に係る包括契約の解除に関するお知らせ」(2011-11-18)の内容として発表されたので、スズキの会社発表文も要約する。
(1) スズキは本日、フォルクスワーゲンAGとの包括契約に則り同契約を解除し、その旨をフォルクスワーゲンAGに通知した。また、スズキ株式の、スズキまたはスズキが指定する第三者への処分をフォルクスワーゲンAGに要求する旨を、フォルクスワーゲンに対し併せて通知した。
(2) スズキとフォルクスワーゲンAGは、互いに独立したイコールパートナーとして、2009-12に包括契約に調印し、とりわけフォルクスワーゲンAGの技術へのアクセスを進めることに合意した。フォルクスワーゲンAGによるスズキの議決権総数の19.89%の出資は、この技術へのアクセスを可能にするため、フォルクスワーゲンAGの申入れを受けて行われたものである。しかし、当初の合意にもかかわらず、コア技術へのアクセスなど契約内容の実現ができず、スズキとフォルクスワーゲンAGとでは「独立」の考え方に大きな開きがあることも明らかになった。その結果スズキは、両社間の協力の基礎である相互信頼関係の構築が果たせなくなった。
(3) そこでスズキは、2011-10-14に、フォルクスワーゲンAGに対して契約違反通告書を送付し、契約に従った是正期間を与えたが、期間内に是正措置が講じられなかった。本日まで再三、提携および資本関係の解消を円満協議により解決するようフォルクスワーゲンAGに対して求めたが、協議に応ずるとの回答を得ていない。
(4) 包括契約解除の結果、速やかに相互資本関係を解消し、互いに契約以前の独立した関係に戻す必要がある。スズキは、包括契約の解除後も、スズキの同意なくしてフォルクスワーゲンAGは、スズキ株式の保有比率を増減させることはできないと考えている。
(5) フォルクスワーゲンAGがスズキ株式のスズキまたはスズキが指定する第三者への処分を直ちに行わない場合には、スズキは、スズキの真の独立を再度確立すべく、仲裁を申し立てる。この仲裁手続において、両社の最高責任者による説明が必要になるものと考えている。
佐成重範弁理士所見→ 第三者としては、本件包括契約の全条文を見ていないから、証券市場における株式取引自由原則との関連や、「最高責任者合意」と契約条文の整合性を確認できず、当面、仲裁等実現の推移を注目することとなる。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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