2011年11月2日水曜日

三菱商事上半期業績に反映した世界経済情勢

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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上半期の三菱商事業績(2011-10-01発表)に、資源価格や為替変動など世界情勢は、どう反映しているか。売上高は10兆0091億円で前年同期比4.5%増だが、営業利益は1686億円で15,4%減、純利益は2593億円で15,4%減であった。定性的概況情報として三菱商事は先ず、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 先進国では緩やかな景気回復が続いたが、欧州債務問題で金融市場の混乱が生じ、景気の下振れ懸念が高まった。新興国では、内需旺盛で堅調な成長が維持されたが、インフレ抑制の金融引締めを強化する国もあった。
2. わが国では、生産供給耐性の大震災被害は予想以上に早く回復したが、海外市場の下振れ懸念で、景気の持直しは緩やかなテンポに留まった。
3. このような内外環境下、三菱商事の上半期売上高は、エネルギー事業における油価上昇や取引数量増加等により前年同期比4.5%増となったが、売上総利益は、豪州資源関連子会社における販売数量の減少や、鉄鋼製品関連子会社における取引数量減などで、前年同期比3.5%減となった。
4. セグメント別には、
4-1 新産業金融事業グル-プでは、アセットマネジメントや企業のバイアウト投資、リース、不動産開発・金融、物流、保健のうち、不動産金融とリース関連事業で収益改善した。
4-2 エネルギー事業グル-プでは、海外資源関連投資先からの受取配当金の増加や、油価上昇に伴う海外資源関連会社の持分利益増加で、増益した。
4-3 金属グル-プでは、前年同期のチリ鉄鉱石関連子会社における株式交換益計上の反動、豪州原料炭子会社における販売数量減で減益した。
4-4 機械グル-プでは、建設機械の取引増、海外自動車事業での持分利益増により増益した。
4-5 化学品グル-プでは、石化事業関連会社などが取引好調で増益した。
4-6 生活産業グル-プでは、食料関連子会社の取引利益増などで増益した。
佐成重範弁理士所見→
(1) 三菱商事は、対米ドル1円円高(安)につき年間25億円の減益(増益)インパクトを想定し、2011-10~12のレート75円と見通していることは、わが国政府の為替介入にも拘わらず、実際上妥当であろう。
(2) 円金利・米ドル金利の高め推移を見通しているが、三菱商事の場合、取引利益や投資利益により、金利上昇の影響は相当部分、相殺されると見ている。
(3) 油価の下落傾向を見込んでいるが、1ドル上昇(下落)につき年間10億円の増益(減益)インパクトだから、おそらく、堅実な見通しとなろう。
(4) 同地金は1MT当たり100米ドル上昇(下落)につき年間5億円の増益(減益)インパクトだが、三菱商事は、銅の価格変動以外の、粗鋼品位などの影響について付記している。
(5) アルミ地金についても、その価格変動のみで単純に損益変動を予測はできないとしていることは適切である。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

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