2011年9月12日月曜日

コマツの成形金型の制御装置関連特許権無効の特許庁審決を知財高裁が取消

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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原告コマツ(株式会社小松製作所・コマツ産機株式会社)(訴訟代理人・黒川 恵弁理士ほか)勝訴の今次知財高裁判決(2011-09-08)(平成22行ケ10404審決取消請求事件)は、コマツの成形金型の制御装置関連特許の無効審判を被告株式会社アマダが特許庁に請求し、特許庁はアマダの請求を認容して、上記コマツ特許の無効を審決し、コマツがこの審決の取消を知財高裁に訴求して、知財高裁の審決取消判決を得たという内容である。
知財高裁の今次判決により特許庁の審決を覆して有効と判決されたコマツの特許権は、発明の名称を「パンチプレス機における成形金型の制御装置」とし、「パンチおよびダイを備え、ストローク量に応じて被加工物の成形加工量が変更可能な成形金型を用いて被加工物の成形加工を行うと共に、打抜加工も可能なパンチプレス機における成形金型の制御装置」に関する発明である。
特許庁の審決は、コマツの上記発明は先行技術に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、この発明に係る特許付与は、特許法の「特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、法定の先行技術に基いて容易に発明することができたときは、その発明については特許を受けることができない」という規定に違反し、従って、無効であるとしたものである。
今次訴訟において知財高裁は、コマツの発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段、発明に作用効果、パンチプレス機について詳細に論究し、先行技術と対比して、特許庁審決における「容易想到性に係る判断の誤り」を究明した。すなわち、コマツの発明と先行技術との相異に関し、「特許庁審決がコマツの発明の成形位置の変更・補正に関する発明を、従来周知の技術であると認定したことは誤りである」などの判断を示し、「先行技術からコマツの本件発明を想到することは容易とはいえない」として、特許庁審決を取消す判決を示した。
SANARI PATENT所見
特許庁の出願審査においては、、コマツの本件発明は特許権付与適格とされ、特許庁審決がこれを覆し、知財高裁は特許庁審決を覆して、特許庁の当初査定による特許権付与が有効とされた事件であり、このように丁重な法的手続を経て「発明に対する特許権付与が確定していく」ところに、特許制度の貴重性が存在する。
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