2011年9月2日金曜日

株式会社産業革新機構の「知財ファンド」設立など業績の追跡


弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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東芝・日立・ソニーのディスプレイ新会社設立を7割出資でリードする産業革新機構への関心が再び高まっているが(2011-09-01・C Siteご参照)、この際、これまでの産業革新機構出資事例を顧みて、業績を追跡すべきであろう。
(1) 知財ファンド「LSIP」(エルシップ)への投資→ 「ライフサイエンス系の知的財産を集約してライセンスする事業」を行っている。バイオマーカー、ES幹細胞、癌、アルツハイマーの4分野を対象に、大学・公的研究機関等の垣根を超えて知的財産を集約(ハンドリング)し、価値を高めた上でライセンスし、革新的な技術の実用化や、ベンチャーの創出を通じたライフサイエンス産業の発展に繋げようとしている。エルシップの運営は、大手製薬企業の知財戦略第一線で活躍してきた専門家を中心メンバーとする「知的財産戦略ネットワーク株式会社」(IPSN)が担当している。
(2) リチウムイオン電池先端企業への投資→ ラミネート式リチウムイオン電池のフロンティア企業である「エナックス株式会社」に出資した。エナックスは、現在ケータイや医療機器で普及している円筒型とは異なるラミネート式を中核技術とし、リチウムイオン電池の大型化を通じた大容量化が期待されている。また、多数メーカーとの共同開発を通じて、安全性・充放電性能を高めている。
(3) パワーデバイスメーカーへの投資→ 低炭素社会の実現に向けた電気エネルギーの効率的な利用の必須要素であるパワーデバイス領域の戦略的なオープンイノベーションを推進すべく、日本インター株式会社に出資した。日本インターは、国内では数少ないパワーデバイス専業メーカーの一つで、海外ビジネスに長じた経営体制のもとで、世界シェアが高い製品と最先端設備を有し、成長に向けたオープンイノベーションに積極的である。産業革新機構はこの投資を通じて、最先端設備の増強、製品ラインナップの拡充、先端技術製品の共同開発に必要な資金を供給すると共に、外部人材の活用を通じてマネジメント体制を強化し、国内外のパワーデバイスメーカーとの段階的再編を目指している。
SANARI PATENT所見
産業行政の在り方の一つとして極めて注目すべきであり、グローバルな国際競争力確立の国家戦略として成果を挙げることが切望される。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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