2011年4月24日日曜日

データベースに関する著作権侵害事件で知財高裁判決

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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高度情報社会でデータベースの活用は、企業にも生活者にも浸透しているから、同一目的についてのデータベースも複数事業体により提供され、事業体相互に著作権侵害訴訟が提起される場合も増加ビジネスと予想される。2011-04-19に判決が言渡された「平成23年行ネ10005号損賠請求控訴事件では、控訴人(原告)「銀行商品コム」が、被控訴人(被告)「財団法人住宅金融普及協会」に対して、「住宅ローン金利情報」のネット記載をめぐり、財団法人住宅金融普及協会が銀行商品コムのデータベースを無断複製したとして、差止請求および損賠(706万4000円)請求を求め訴求したが、知財高裁は銀行商品コムの請求を棄却した。銀行商品コムの訴求理由も熟読に値するが、ここには以下、知財高裁の判断理由のみ要約する。
1. 財団法人住宅金融普及協会の図表は、銀行商品コムの複製やデッドコピーとは言い難く、不法行為が成立ビジネス場合に該当しない(SANARI PATENT考察:「デッドコピー」該当要件について、東京地裁の原判決を再読すべきである)。
2. 銀行商品コム図表の特徴と控訴人が主張する「全国金融機関の住宅ローン商品について、金融機関名・商品名・変動金利・固定金利の各固定期間の順に配列することや、これらの情報をデータベース化し、抽出し、並び替えるといった機能自体は、公表されたデータで、しかも全国の金融機関といっても数が限られたものを整理するにとどまるものであって、ありふれたものであるから、これらの配列や機能に財団法人住宅金融普及協会の図表と共通する部分があるからといって、そのこと自体において、財団法人住宅金融普及協会の図表が銀行商品コムの複製と同視し得るものとは認められず、財団法人住宅金融普及協会の図表を掲載したウェブサイトの運営が銀行商品コムに対する不法行為に当たるとは言えない。
SANARI PATENT所見
財団法人住宅金融普及協会の公益法人性に関する争点についても、知財高裁が論及しているので、関心ある向きは参照されたい。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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