2011年2月27日日曜日

皮革製の球技ボール関連特許権の無効審決を知財高裁が取消

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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国境を超えて球技は、グローバルな親善と愛国心を高揚する国際社会の大産業でもあるから、ボールの構造に関する発明も国際的関心事であり、特許紛争も競技クレームと同様に国境を超えて多発することを免れない。もちろん、一旦付与された特許権が審判で無効とされ、その審決が知財高裁で取消されたりすることは、特許権の法的安定から、それ自体は好ましくないが、特許すべきでない発明を特許してしまったのかどうかは、公益のためにも判断を重ねるべきである。
2011-02-24に知財高裁判決が言渡された「平成22年行ケ10162号審決取消請求事件」において、原告の株式会社モルテン(訴訟代理人・古橋伸茂弁理士ほか)らは「球技用ボール」特許権の登録を2008-07-13に受けたが、被告モルテックスリミテッドこの特許権は無効であると審決請求し、特許庁はこの請求を認容して特許権無効審決を行った(2010-01-19送達)。原告は、この無効審決の取消を知財高裁に訴求し、知財高裁は原告の請求を認容して、特許庁の審決を取消した。
原告の特許発明は、「圧搾空気が封入された球形中空体の弾性チューブと、このチューブ表面全面に形成された補強層と、この補強層上に直接またはカバーゴム層を介して接着された複数枚の皮革パネルとを備えた球技用ボール」に関するもので、請求項は、「皮革パネルの折り曲げ部に設けられた接合部において、隣接する皮革パネルと接着されてなる球技用貼りボール」などで構成されている。
主たる争点は先行技術からの容易想到性の有無であったが、容易想到性なしとして特許権が付与され、容易想到性ありとして特許庁の無効審決がなされ、容易想到性なしとして知財高裁が審決を取消した。技術的に精密な各主張を、判決文によって考察すべきである。
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