2011年2月18日金曜日

財団法人・食品薬品安全センター秦野研究所年報

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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中国でキリンが販売している牛乳が、中国産の牛乳より遥かに高価であるのに、母親達が挙ってキリンの牛乳を求め、「子供のため、日本製品なら安全安心」と大好評の様子がTV放映されたが、国内で食薬品の安全性を動物実験で確認する極めて重要な業務を、年末年始も祝祭日もなく(実験動物への給餌や観察には休日がない)長期の慢性毒性試験を主体に営んでいるのが、食薬品製造会社の試験所以外の専門国内機構としては唯一の、「財団法人・食品薬品安全センター秦野研究所」である。30年ほど前まで8年間、佐成重範弁理士はその法人の常任監事を務めたので、先日、新しい年報を贈られた。
米国の食薬品局(Food and Drugs Administration)が国家機構で3000名の科学者を擁するのに、日本のこのFDAは、当初建設費を競輪資金で賄ったほか、若干の設備費補助を競輪資金から受けているだけで、全て受託試験料金で運営しなければならない。従って、やはり気になるのは業務量(受注と売上高)の動向だが、日本の製薬業界が新薬開発の高額負担をM and Aなどで代替する傾向が反映して、減少気味であることは憂慮に堪えない。
日本の医療保険システムでも新薬の薬価が高額で開発を促進するけれども、研究開発費用の高さと成功確率の低さは医薬品において極めて著しく、企業規模が国際比較で小さい日本企業にとって過重な場合が多い。売上高規模で、日本トップの武田薬品1兆3000億円、2位3位の第一三共とアステラスの各9300億円に対してファイザーは3兆7500億円、グラクソは3兆3300億円、サノフィアベンティス3兆1000億円、ノバルティス2兆4500億円、ロシュ2兆2700億円で、武田は世界15位である。2010~2011に特許切れ医薬品が相次ぐので新薬開発は企業維持のため急務だが、ジェネリック量産、対ベンチャーM and A、配合剤や効能追加による特許権の実質延長など、純新薬開発の負担を軽減して企業維持を図る経営戦略も理解できるところである。しかし、この傾向が抗体医薬や核酸医薬などの医薬新局面先端医薬の開発にも及ぶことは、日本医薬産業の危機と言っても過言ではない。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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