知財高裁が「特許庁の本件審決には理由不備の違法あり」と判決
弁理士 佐成 重範 ケータイ検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
Twitter http://twitter.com/sanaripat
特許権は従来技術に対して進歩性ある発明に付与され、その発明による利益を特許権存続期間中、独占して得ることができるとすることにより、産業の発達を促進するものだが、進歩性の程度がどの程度のものであれば特許権による保護に値するのか。換言すれば「進歩性」と「進化性」と「変化」とは、どう違うのか。Barak Obamaが「Change」、すなわち変化を強調したとき、それは連続的な社会革新を含むものであったが、知的財産権制度としては、飛躍的発想、すなわち、従来技術から当業者が思いつかない程度の創造的発想のみを保護すべきであるという考え方が根底にある。「進歩」が「変化」に近いとすれば、むしろ突然変異的に産業プロセス・社会生活を革新する飛躍的イノベーションとして「進化性」の語が適当である。
年末に知財高裁が判決言渡しをした「平成22年(行ケ)第10229号 審決取消請求事件」は、原告SABICイノベーティブプラスチックスジャパン(訴訟代理人:松井光夫弁理士ほか村上・石渡・小平弁理士)が、その発明「プラスチック成形品の成形法および成型品」について特許出願したところ、拒絶査定され、拒絶に不服の審判請求も不成立と審決されたので、この特許庁審決の取消を知財高裁に訴求(被告は特許庁長官)した事件である。
知財高裁は原告の請求を認め、本件審決を取消すと判決したが(2010-12-28)、主たる争点は、従来技術から当業者が想定し得たとは言えない発明を、本件特許出願が内容としているか否かであって、漸進的進歩よりも進化ともいうべき発明と、知財高裁は判断したものと、SANARI PATENTは解する。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)
ラベル: 知財高裁 特許庁 特許権 発明
0 件のコメント:
コメントを投稿
登録 コメントの投稿 [Atom]
<< ホーム