2010年5月4日火曜日

Middle East Countries Increase Ethylene Production Capacity 

中東のエチレン生産能力増大と日本の石油化学産業
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
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10.(承前2010-05-03記事) 中東諸国が石油化学産業において、原料面で競争力を有することは当然で、技術面で日本企業が協力しているのも、原油の供給を確保するためである。中東諸国のEthylene生産能力は2008年時点で年産1400万トンに達し、更に2013年までに1000万トンの能力増加が予定されている。中東諸国の内需が増大するにしても、生産能力の増加速度より遅く、中東のEthylene誘導品の輸出ポジションは益々強化し、多くの量がアジア市場に輸出される。
11. そのアジアにおいても、大量需要国である中国自体の石油化学生産能力が大幅に伸長する。中国のEthylene生産能力は2008年から2013年までに年産1300万トンから2050万トンに達し、日本の石油化学生産能力と同規模の伸びが予想される。
12. 上記の状況から、中東の安価なEthane Gasを原料とするEthylene誘導品を始め、新興国の産品と競合する誘導品については、アジアを中心とする地域において国際競争の激化が予想される。
13. 次に、地球温暖化問題との関連を考えると、化学産業は、わが国の温室効果ガス排出量の約5%を占め(その7割が石油化学)、国内産業部門では鉄鋼業の15%に次ぐ。他方、石油化学は温室効果ガス削減に寄与する製品の多くを製造している。
14. その他の環境変化としては、EPA締結の進捗に伴う関税引き下げの可能性がある。
SANARI PATENT所見
 日本のエネルギー源構成において、石油が占める割合が急減することは想定されず、電気自動車などもその所要エネルギーすなわち電力の給源の過半は原油に依存する。従って、産油国の国策に基づく要望に応じて産油国自体の石油化学産業新増設に寄与することは、必要不可欠であり、現に実行されている。それは石油化学製品の競合を結果し、関税障壁の撤廃と相まって、わが国石油化学製品の国際競争力のコスト的弱点を顕在化させる。石油化学について、一層の知財開発、高付加価値製品への重点化が必須となる。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

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