2009年9月24日木曜日

Various Problems Concerning Patent Right Invalid Decision by Patent Office 

特許権無効審判の諸態様とその問題点
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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98.(承前2009-09-23記事)無効審判の確定審決の第三者効(特許法167)について、これまでこの制度は当然の前提として受け入れてきており、改正の必要はないと思う。
99. 無効不成立審決が確定した審判の証拠に、一つでも違う証拠を加えれば、「同一の証拠」とされずに、再度の無効審判請求は可能と思われ、現実にはこの制度により問題は発生しないと思う。
100. この制度を変えるそれ程大きなニーズはないようだが、考える。残すニーズの有無も分からない。また、この規定が維持されたとしても、無効不成立審決が確定した審決と同一の事実および同一の証拠に基づいて、侵害訴訟において特許法104-3の無効の抗弁を主張できるなら、実害はあまり生じないだろう。しかし、この規定導入時のモデルになったオーストリアにおいては、同規定は違憲としてすでに削除されているにもかかわらず、わが国で同規定を維持することが適切であるのか、国際的にみて良い状況であるのか疑問がある。(SANARI PATENT考察: オーストリアでの規定をモデルとした理由、同国で削除されたのにわが国ではそのままとした理由などを、特許庁事務局が十分説明すべきである。)また、侵害訴訟において無効の抗弁が認められ、実質的に権利行使ができなくなっている特許権について、この規定があるために、無効の抗弁が成立した無効理由に基づいて、特許権の登録を抹消すべく無効審判請求をすることが許されない事態が生じ得る状況を看過してよいのか、検討すべきである。

101. 同一の証拠等に基づいて何度も無効審判が請求されることとなると、特許権者の対応負担は大きい。大企業が対応できても、中小企業や大学にとっては難しい。
102. 特許法167の条文で、無効不成立審決が確定した審判の証拠に、一つだけ別の証拠を加えたというだけで、「同一の証拠に該当しない」と解することは、解釈として奇異である。この解釈を前提として、憲法問題を回避(SANARI PATENT注:上記100参照)していると思うが、再検討すべきである。(以下次回)
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