2009年9月23日水曜日

Patent Right for Each Unit of Claim Contains Various Practical Problems

 権利を特許単位で考えるか、請求項単位で考えるか
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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94.(承前2009-09-22記事)権利を早く確定させることが適切であり、現行法の解釈からしても、結論としては、部分確定で良いと思う。ただし、国際的な制度調和にも配慮すべきである。
95. 米国では、全ての請求項について判断が確定した段階で公報により最終的に確定した権利状態が公示されるが、公報発行までの間も、特許性が認められ争いがなくなった請求項については、その段階で部分確定して行き、部分確定した権利の内容は、誰でも閲覧可能な経過情報を辿れば確認できるようになっている。本来は、経過情報を閲覧可能とするだけでなく、部分確定するごとに、部分確定した請求項の内容を直接確認できる形の公示が望ましい。

96. 迅速性の観点からは部分確定が適しているが、分かり易さという観点からは、特許全体で確定することが適する。大企業ならどのような制度でも対応できるだろうが、一般的な人にとっては部分確定は複雑で対応が困難かも知れない。部分確定の方が現実的であると思うが、どのようなレベルの人をターゲットにするのかを考えて、制度構築すべきである。(SANARI PATENT考察:「どのようなレベルの人」を考えるかが、制度調和の観点から極めて重要である。米国の特許審査基準には、「当業者」の技術水準についても、業界によりレベルの差があることに留意すべきであるとの定めがある。これは想到可能性の有無の判断にも決定的に影響する。更に国際比較を考えると、制度調和は極めて慎重になされなければならない)。

97. この問題は、権利を特許単位で考えるのか、請求項単位で考えるのかという、特許制度の本質論と関係する。特許単位で考えるとするならば、訂正請求の一部が認められないために全ての訂正請求が不認容となるという権利者にとって酷な事態が生じ得るから、権利者の防護ために予備的な訂正請求を可能とするかどうかという難しい論点が生ずる。請求項単位で考えるのであれば、このような論点に入らなくて済む。また、請求項の訂正に併せて、明細書の訂正の拒否判断、確定・公示の取扱など、関連する論点が多い。
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