2009年9月30日水曜日

Problems Concerning Early Patent Examination

特許出願の早期審査と特許公開の前後関係
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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117.(承前2009-09-28記事) 出願人の調査義務については、出願人と特許庁とのコストバランスを考慮して決定するのがよい。進歩性については、産業の発達という趣旨にかんがみ、状況に応じてレベルが修正されてもよい。(SANARI PATENT考察: 各国ともこの「レベル(の差)」という観念はない。進歩性があるか無いかの二者択一であって、その択一判断レベルという意味であれば、レベルの上下を区別する基準を示さなければ、提案ないし発言にならない。)

118. 裁判においても進歩性についての予見可能性が高まることが望ましい。(SANARI PATENT考察: 望む者が、先行技術を徹底的に研究するほかに、予見可能性を高める方法はない。)
119. 進歩性のレベルは、国際的に見て日本だけ厳しいということがあってはならない。(SANARI PATENT考察:「日本だけ優しいということ」もあってはならない。)
120. 中小企業支援施策をしっかり充実させて、出願人による先行技術調査の意義を知らしめておく必要がある。(SANARI PATENT考察: 中小企業者が、せめて自己出願能力を持つことが先決である。)

 次に、第三者の役割(公衆審査)の問題に移る。早期審査の増加に伴って、出願公開前に特許査定される案件は増加しており、今後の審査順番待ち期間の短縮により、公開前に特許査定される案件の更なる増加が予想されている。これらの案件については、権利付与前の公衆審査の機会が失われることに対する問題が指摘されている。また、意義申立制度の廃止により、瑕疵ある特許の有効性を争う簡易な手段が失われたことも問題である。他方、特許付与後の権利の有効性を争う簡易な手段の導入は、濫用による特許権者の負担増加と、ビジネスの予見性低下を招き、特許権者の適切な保護を阻害するとの指摘もある。
 これらの論点について次のように発言されている。
121. 公衆審査を確実にするためには、特許付与後に査定系の特許無効化手段を導入するのがよい。(特許無効化手続には、特許庁と出願人等との対立構造で審理する査定系手続と、特許権者と第三者との対立構造で審理する当事者系手続とが考えられる。なお、平成15年の改正により無効審判に統合された意義申立制度は、査定系手続である。)(以下次回)
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