2009年9月7日月曜日

Harmonization of Legal Stability and True Patentability

知財高裁判決と特許無効審決の相克事例
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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68.(承前2009-09-04記事)特許法第4条の3が導入され、侵害訴訟で特許の有効性が判断できる現在の制度を前提にしても、事後の審決確定が再審事由に該当すると考えるべきか、または特許の有効性が判断された侵害訴訟の確定判決は、事後の審決確定によっても覆らないとすべきかという問題である。制度利用者は、どちらを望むのか。(SANARI PATENT考察: 制度利用者の「望む方」に、決定をゆだねること自体が適切でない。特許法の目的が産業の発達であることから、いずれが合目的的的かにより決定すべきである。)
69. 企業経営の安定性の観点からも、事後の審査確定によって確定済の侵害訴訟が蒸し返されることは許容できない。遡及効を制限することにはあまり抵抗しないが、むしろ法理論的に正当化できるかどうかが問題である。

70. 生海苔の異物除去処理装置最新事件(知財高裁平成20年7月14日判決、平成18年(ム)10002号事件)同10003号事件で、特許権侵害に基づく差止請求を認容した判決の確定後、特許無効審判が確定したことにより、再審請求を認め、確定判決を取消して、特許権者の請求を棄却した)のような極端な事例を受けて、制度を根本から変えることには違和感がある。
71.  侵害訴訟とその後の無効審判での異なる原因としては、(1)公知技術に関する新たな証拠の発見と、(2)侵害訴訟ルートと審判ルートとの純粋な判断齟齬による場合が考えられる。最終的には、(1)については後出しであるとして、また(2)については侵害訴訟で無効の抗弁を主張する機会が与えられていたとして、蒸し返しを制限するかどうかという価値判断の問題、公益tな側面と手続的な側面のいずれを強調するかという価値判断ともいえる。
72. 現行制度下では、訴訟で特許無効の抗弁および訂正の再抗弁(侵害訴訟において、被告(被疑侵害者)からなされた特許無効の抗弁に対して原告(特許権者)が「訂正により被告が主張する無効理由が解消され、その訂正がなされた後であっても、被告の製品がその訂正後の特許権の侵害になる旨を主張し返すこと」が主張できるから、損害訴訟判決確定後に再度争う余地を認める必要はない。(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)(以下次回)

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