2009年9月4日金曜日

Criterion for Patentability Judgment Sometimes Differs Between PO and Courts 

特許の無効審判と無効訴訟の並存の意義
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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65.(承前2009-09-01記事)無効審判への一本化は、キルビー判決以前の状態に戻ることを意味し、弊害が大きい。一方、侵害訴訟への一本化は、裁判所による技術的争点の判断に不安がある。結局は、裁判所と特許庁の役割分担の問題に帰着するが、技術専門官庁である特許庁の判断が何らかの形で介入することは必須である。制度利用者が希望する以上、特許庁による判断を得る機会は残しておくべきである。(SANARI PATENT考察:「特許庁による判断」は特許査定において示されているから、「特許庁による判断の再考」を求める機会である。査定において判断要素から漏れた従来技術の存在、想到可能性判断の相違など、査定段階における欠落を立証して特許庁の再判断を求め得る制度は、否定できないと考える。)その場合、特許庁の判断を裁判所がどの程度尊重するのかという基準の明確化が必要である。進歩性の判断においていわゆる「あと知恵判断」を防止する枠組みの洗練、精度向上が、信頼性の高い訴訟制度への重要な課題である。(SANARI PATENT考察:「あと知恵」であるか否かは、発明当時の技術水準によって判断するのであるから、発明当時の当業者の知恵がこのようであったということを、どのように裁判官が説得できるかの問題である。) 

66. 無効審判制度に存在意義はあるが、侵害訴訟で有効性判断をしている場合も敢えて全件について無効審判をすることに意味があるのか。(SANARI PATENT考察: 特許査定、特許審判、特許訴訟の3段階で、特許性についての判断の相違、現実には審査官、審判官、裁判官の判断の相違の有無を確認する意義を有するのであるから、透明性を確保するため、並行の意味がある。)侵害訴訟で特許庁の知見を活かすためにも、求意見制度などによれば足り、わざわざ無効審判を並走させる必要はない。
67. 最終的に決め手となるのは、再審の在り方をどうするかである。事後の審査確定が侵害訴訟の最新事由に当たることを認めるかどうかによって、今回議論している他の問題も全て影響を受ける。特許無効の審決の遡及効の考え方を徹底するのか、既存の紛争解決の結果を尊重するのかという現実的な問題であるのみならず、理論的には、特許の効力をどのように考えるべきかの問題である。(以下次回)
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