2009年8月30日日曜日

Problems Relating to the Registration of Patent License

専用実施権の登録内容に関する問題、紛争解決におけるダブルトラックへの対応負担問題
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  キャノン子会社の危機対応
 
50.(承前2009-08-29記事)不動産登記制度は、登記が問題なくできることを前提としている。一方、ライセンスに関する情報を他人に知られたくない場合があるなど、登録すること自体にマイナスの効果がある専用実施権等に関して、登録が問題なくできることを前提とした制度が妥当するのかについては、今一度考え直す必要がある。(SANARI PATENT考察: 登録内容を第三者に対抗できるように登録する一方、その内容を第三者に知られたくないというのであるから、内容を知り得る第三者の範囲と知り得る場合を限定しなければならないが、立法技術として可能か、問題が大きい。)
51. 登録を効力発生要件とする現行の専用実施権制度は、取引の安全を強く重視した制度だが、実務上の問題が多く、現代において適切な制度であるか、十分に検討する必要がある。契約によって効力が発生し、第三者に対して主張する場合にのみ登録が必要という制度は、民法における物件の仕組みとも一致するため、導入可能と思われる。
52. 民法の世界では取引安全のために強い権利は外から見て分かるようにしておくべきであると考えられている。知財の世界において、情報開示による権利者の不利益に対応して、独占的ライセンスの開示事項の範囲を現行の専用実施権より狭めることを検討する際には、公示システムとの折り合いをどうつけるかの問題を十分勘案しなければならない。
53. 特許出願段階における特許権への質権設定の解禁や、出願段階における特許権の公示・登録制度の創設は、実務のニーズに対応するものとして賛成する。
54. 譲渡担保による資金調達は、金融機関が特許権の名義人になる点で、特にベンチャー企業にとって抵抗感がある。出願段階における特許権への質権設定をさほどコストをかけずに解禁できるのであれば、解禁してもよいのではないか。
55. ダブルトラック(紛争処理における特許の有効性判断が、無効審判と侵害訴訟の二つのルートで行われ得ること)による対応負担。判断齟齬について、キルビー最高裁判決および特許法104条の3の理念を先ず考察する。(以下次回)
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム