2009年8月29日土曜日

Various Formation of Patent License

ライセンスの諸形態と民商法一般原則との関係
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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45.(承前2009-08-28記事)デユーデリジェンスの実施程度は、取引形態によって異なる。特許権の売買の場面に比べて企業買収の場面では、例えばクロスライセンスの詳細な内容についてまでは調べない場合もある。
46. 民法や商法の法制度は、社会経済のインフラであり、必要があれば例外を設ければよいが、その際には相当の理由が必要である。当然対抗制度とするためには、以下3つのハードルがある。(1) 通常実施権が特許権の譲受人等の第三者にも主張可能な権利であると考えられるか。(2) 通常実施権が第三者にも主張可能な権利であるとした場合に、その主張に登録は不要と考えられるか。(3) 要求すべき水準の努力を尽くしても通常実施権の存在を認識できなかった第三者に対しても、通常実施権を主張可能と考えられるか。これらのハードルを越えるためには、単に登録が困難ということだけでなく、現代社会の状況に即した積極的な理由づけが必要である。
47. 民法の一般原則の例外を認めるに当たっては、特許権の譲受人とライセンシーの実務的なニーズと理論的な説明の双方を検討することが必要である。理論的な説明としては、有体物を前提とする民法は、無体物に関する一般法とは必ずしも言えないのではないかという点がある。また、有体物である不動産に関する権利に民法の一般原則の例外(借地借家法等)が認められていることからすれば、無体物を前提とする通常実施権に民法の例外を設けることは可能ではないか。
48. 独占的ライセンスに関するニーズは業界によって異なる。電機業界は、独占性を確保するというより事業に必要な特許を利用できることを重視する傾向が強い一方で、製薬業界は利用を完全に独占することを重視する傾向が強い。このため製薬業界では、独占的ライセンス制度の整備に対するニーズが高い。
49. 登録が効力発生要件とされている専用実施権制度は、日本と韓国にのみ見られる特殊な制度であり、外国企業との取引において問題が生じている。専用実施権制度を廃止して、独占的な実施権と非独占的な実施権の2種に整理し、いずれも契約によって効力を発生するものとすれば、外国から見ても分かり易い。

SANARI PATENT所見
 包括的クロスライセンス等を必須とする電機機器業界と、M and Aによって特許権を独占取得する製薬業界となど、業界の特質に応ずる考察が必要である。
(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)

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