2009年8月26日水曜日

Balance of Rights and Interests in the Suspension Order for Patent

 差止請求権行使における当事者間の権益のバランス
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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27.(承前2009-08-25記事)わが国で、理論的には一定の場合に権利の濫用であるという理由で差止請求権を制限する余地はあるが、実務的には、制限した場合の代替措置などバランスを取る方策を検討すべきである。(SANARI PATENT考察:  差止請求権を行使されて回復困難な損害を生ずる側と、差止請求権を制限されて回復困難な損害を生ずる側と、両者の法益のバランスの問題に帰着する。)
28. 特許権の効力として、将来分の金銭的填補と差止請求権はセットで考えるべきである。特許権が財産権である以上、代替措置や、その後に発生する損失を経済的に填補するような制度を整備しなければ、国民の財産権を保障する憲法の規定に違反することにもなり得る。(SANARI PATENT考察: 同時に、 差止請求権を行使しないことによる損失を填補しなければ、国民の財産権を保障する憲法の規定に違反することにもなり得る。) 
29. 裁判実務では、他の法域と同様に、一般原則である権利濫用法理によって差止請求権を制限することは困難ではないか。差止請求が相当でない場合には、特許権を無効または権利範囲を狭いと判断し、問題を回避していると言われている。しかし、これでは侵害自体が否定され、損害賠償まで否定することになり、行き過ぎたこととなる。権利侵害を認めた場合に権利濫用と判断した事例はないのではないか。従って、現行制度では損害賠償だけ認めて差止請求を認めないという運用を行うことはかなり難しく、これでは硬直的だから、立法措置が必要である。例えば、損害賠償請求を原則として、例外的な場合に差止請求を認める制度があり得るが、特許権の保護のベースが下がることが懸念される。
30. 差止めを制限したとしても、特許権侵害として損害賠償を認めている場合には、理論上は侵害行為に刑事罰が適用され得るが、それでは行き過ぎであるため、刑事罰が適用されることのないよう、侵害の違法性を打ち消す目的で、裁定と同様の効果を差止制限に行わせるような制度設計はできないか。(SANARI PATENT考察: 特許権侵害の有無の判断に事実を要し、かつおの結論が不安定であることが、この問題の根源である。)(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)

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