2009年8月20日木曜日

Establishment of Patent System Emphasizing Quality and Balance 

先行技術、特許の質、差し止め請求等をめぐる諸問題
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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7.(承前2009-08-19記事)特許の審査においては、それ以前に存在した技術の調査は重要である。しかしながら、特許庁が調査に用い得る時間には制約もあり、加えて、学術論文などの特許以外の文献を完璧に調査することは難しいので、米国のように、特許庁外部の有識者の知見を活用してはどうか。(SANARI PATENT考察: 先行技術・従来技術の調査をわが国では外部団体に委託している。いずれにしても「完璧」は難しく、審判請求や知財訴訟で補完することとなる。この限度で、特許権の法的安定性には不安定性が内在し、特許権者はこれに伴うリスクを負担する。)
8.完璧な審査は不可能であるのだから、特許庁と裁判所の役割分担は重要な課題である。
9.各国の特許庁における従来技術文献の調査のやり方を統一してはどうか。
10.一つの製品に多くの特許権が含まれる場合、この多くの特許権の一つだけを侵害しても、製品全体の製造や販売が差し止められてしまう。(SANARI PATENT考察: 差し止めと損害賠償請求の優先選択の問題で、差し止めの結果の不可回復の程度が、その発動において参酌さるべきである。)
11. 特許権の在り方を議論する際には、その特許権を有している者は、企業のように事業を行う者なのか、それとも大学のように事業を行わない者なのかも考慮に入れる必要がある。(SANARI PATENT考察: 特許権を知財界の貨幣と考え、その流通を目的として創出・買収するビジネスが成立している。類型としては大学もこれに属するから、大学もパテントトロール化の可能性があるという公式発言もある。)
12. ライセンスオブライト制度とは、差し止めを行わないと宣言すれば、特許の登録料金を安くするというものである。裏を返すと、この制度のもとでは、登録料金をきちんと払っていれば、必ず差し止めができるということにならないか。
13. 特許権は、差し止めが当然できる権利と考えられている。これは、特許権が民法上の物を支配する権利、つまり所有権に由来することによる。一方、所有権は、物から利益を得る権利も含む。この点を踏まえ、差し止めの権利を制限して、利益を得る権利のみを検討してはどうか。(SANARI PATENT考察: 差し止められると回復不能な損失をこうむる場合があると共に、差し止めないと回復不能の損害をもたらす場合があるか、バランス論となる。)(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

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