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地図情報による広告情報の登録・供給・機能特許に対する大日本印刷の無効主張
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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凸版印刷の地図情報による広告方法についての特許に対して、大日本印刷が無効審判請求をしたが、特許庁はこれを不成立と審決したので、この審決の取消を、大日本印刷が知財高裁に訴求したが、知財高裁は凸版印刷の特許を適法と判断し、大日本印刷の請求を棄却した。SANARI PATENT流に言えば、要するに「従来技術からの容易想到性の有無」が争点で、知財高裁は非容易想到性を凸版印刷の発明に認めたと解する。(2009-07-29判決言渡)
1. 凸版印刷は、分割出願による請求項数4の、「広告情報の登録方法、同供給方法、端末、サーバ、および端末を機能させる方法」の特許権者である(平成13年11月2日設定登録)。その特許請求の範囲は下記の通りである(SANARI PATENT要約)。
1-1 登録者IDを、コンピュータネットワークを介して、特定のサーバに送信する段階、このIDによって、サーバから供給される地図情報を表示し、位置指定と広告情報を入力して送信する段階を備える登録方法。
1-2 上記各段階に対応する手段を備える端末。
1-3 登録者ID受信手段、このIDおよびパスワーどのチェック手段、このチェックによって地図表示、位置指定を制御する手段、位置座標関連広告の受信・記憶手段を備えるサーバ
1-4 上記段階・方法によって、指定座標に関連する広告情報をコンピュータネットワークを介して送信するよう端末を機能させる方法。
2 特許庁の審決
上記の凸版印刷の発明は、従来技術に基いて当業者が容易に発明することができたということはできない。すなわち、凸版印刷の発明と従来技術の相違点として、凸版印刷の発明は「登録者IDをコンピュータネットワークを介して特定のサーバに送信する段階」を備えるのに対して、従来技術1にこの事項は記載されていない点など。
3. 大日本印刷の主張
特許庁の審決には、「広告情報」を顧客ファイル作成に必要な情報の全てを指すものと解しているが、「顧客情報」は、店名、電話番号、業種情報、広告メッセージ等の顧客ファイル情報を構成する個々の情報であり、そのいずれでも足りると解すべきであるなど。
4. 知財高裁の判断
従来技術2には、地図上の位置と千葉中国とを対応づける地番変換システムを作成するシステムの記載はあるものの、広告依頼者の端末から地図を利用して位置指定することにより、座標を入力された広告情報と関連づけるとの技術的思想の開示はないなど、従来技術を組合わせても、凸版印刷の発明のような構成を想到することはできないというべきである。
SANARI PATENT所見
想到容易性の有無の判断基準を一層精密にするために、この判決の解析が加えられるべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)
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