2009年8月7日金曜日

JPO Invites Public Comments on Patent Examination Procedure 

特許庁が「産業上利用可能性」および「医薬発明」の審査基準改訂案発表
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 今次審査基準改訂案は、わが国の知的財産行政上のみならず、知的財産権に関する国際調和上も極めて重要な意味を有し、SANARI PATENTが内閣知財戦略本部や特許庁に対して、数次にわたり意見表明してきたところである。先ず、今次意見公募の内容(SANARI PATENT要約)を考察する。

1. 審査基準改訂の理由: 内閣知財戦略本部・知的財産による競争力強化専門調査会において、次の事項を含む「先端医療分野における特許保護の在り方」が報告された(2009-05-29)。
1-1 専門家の予測を超える効果を示す新用法・用量の医薬の発明を「物」の発明として保護すべく、具体的な事例を示しつつ、審査基準を改訂すべきである。(SANARI PATENT考察: 冒頭の「専門家」と、特許法の「当業者」の相違の有無が先ず一般の関心の的になる)。
1-2 「最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法(手術、治療、診断が含まれない人体の計測・測定方法)の発明(例えば、MRIやX線CT等による断層画像撮像の仕組み、原理拿)を新たに特許対象とすべく、特許対象となる事例と特許対象外となる事例を示しつつ、審査基準を改訂すべきである。
2 この意見は内閣知財戦略本部に報告され(2009-06-24)、この提言を踏まえて審査基準を改訂すべきことが決定された。そこでこのたび特許庁は、次のポイントによる改訂案を作成した。
2-1 人体から各種の資料を収集する方法は、手術や治療の工程や、医薬目的で人間の病状等を判断する工程を含まない限り、「人間を診断する方法」に該当しないこととした(SANARI PATENT考察: すなわち、「特許対象とする」という意味である。)
2-2 組合せ物(物理手段と生化学手段との組合せ、生体由来材料と足場材料との組合せ、生体由来材料と薬剤との組合せ等)の事例を追加する。
2-3 細胞の分化誘導方法等が、「人間を手術、治療または診断する方法」に該当しないことを明記し、関連技術の事例を追加した。
2-4 アシスト機器関連技術の事例を追加した。
2-5 医療発明について
2-5-1 医療において、特定の用法・用量で特定の疾患に適用するという医療用途が、公知の医療と相違する場合には、新規性を認めることとした。
2-5-2 細胞等の生体由来材料の、用途に特徴のある発明の事例を追加した。
2-5-3 製造方法で特定された細胞の、医療用途に特徴ある発明の事例を追加した。
SANARI PATENT所見
現行審査基準における「産業上利用可能性」:
 医療関係発明が特許対象とされる範囲は、わが国においては審査基準の「産業上利用可能性」の解釈によって定められてきた。特許対象となるか否かは、国民の権利として極めて重要であるから、これをを法定しないのみならず行政通達に委ねることは、権利関係を不安定にするのみならず、国際調和(米国では医療関係について特許性の限定規定が特許法上、存在しない)をも欠くことを、SANARI PATENTは予てから主張してきた。今次改正案は、既述の通り、特許性付与の範囲の拡大にとどまり、上記抜本的改正には及ばない。 
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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