2009年8月1日土曜日

Performance Based Contracting of Info System Studied by METI 

経済産業省「情報システムのパフォーマンスベース契約研究報告書」を発表(2009-07-31)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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情報システムの取引における価格決定方式として、従来の人月方式の欠陥が予てより指摘されていたが、経済産業省(担当:商務情報政策局情報処理振興課)は、情報システムの付加価値に着目してその価格を決定するパフォーマンスベース契約について検討し、今次報告書を発表するに至った。以下その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
1. 今次報告書の背景と目的: わが国の情報システム市場においては、従来主として、人月ベースの価格表示を行ってきたが、人月ベースの方式は、労働量の単純なプライシングの方法であるため、システムの品質や価値を十分に反映することができず、これが主流を占めている限り、「情報システム市場の健全な成長は望めない」、「品質や価値を反映した価値決定の方法を導入する必要がある」という提言がなされてきた。すなわち、「人月ベースの価格の根拠が、ユーザー側の価格への不信感につながっていたこと」、「優れた品質や高い効果を創出するシステムを構築できるような付加価値の高いベンダが明確に評価される市場構造を確立することが、情報サービス産業全体の健全な発展の要件であること」、「人月ベースの価格決定のみでは、ベンダの品質向上や創意工夫へのモチベーションは生まれないこと」、「情報システム担当者にとって、CEOを始めとする経営層に説明できない価格では投資の妥当性を提示できず、投資意欲そのものを減退させてしまうこと」などが強調されるに至った。
2. 環境の変化: 情報システムのオープン化、インターネット化、これらに伴うSaaS、ASPなど(SANARI PATENT注:この2つを総務省は同義とみなしている。最近はCloud Computingが事業ベースに乗り、SaaSを包括するものとされている)を始めとするサービスへのビジネスモデルの移行が進み、また、業務や経営に対して情報システムが担うべき役割の変化に伴って、ユーザーのITコスト意識の徹底やニーズの多様化が進んでいる。しかし、そのような変化に対応した情報システムの取引や価格構造が整備されておらず、ユーザー・ベンダ双方に様々な課題をもたらしている。これらの課題に対応した価格設定や契約の一つの方法として、パフォーマンスベースの価格決定や契約を普及拡大することが適切と考える。(以下次回)
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