2009年8月3日月曜日

From Pro-Patent to Pro-Innovation 

特許制度をめぐる国際環境の変遷
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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2-2(承前2009-08-02記事)越国境の知財ファンド: 海外においては、技術市場に国境がなく、大学、研究機関のの研究開発活動とビジネスを連結するファンドの組成など、国境を越えた活動が盛んになっている。
 一方、国際的には、米国における判例の推移(SANARI PATENT注:特許庁のこの箇所での認識では、プロパテントに振れていた権利者保護の水準が、国際的レベルに引き戻されたことを意味する)や先発明主義の放棄などを謳った特許制度改革法案の動向、WIPOでのPCT改革の議論、先進国を中心としたPPHのプルリ化(SANARI PATENT注:特許審査ハイウェイの多国間化と訳すべきであろう)など、知的財産の制度調和の動きも着実に進展し、従来の制度に新たな論点を生んでいる。
2-3 わが国の経済状況への対応: わが国は、世界金融危機に加えて、資源・環境の制約、人口減少、国際競争激化などの構造問題に直面し、国際競争力を強化し持続的経済成長を実現するため、付加価値の源泉であるイノベーションの促進が重要であり、その実現に貢献するための知的財産システムの構築が求められている。
 これに対応するため昨年「イノベーションと知的財産に関する研究会」では、プロパテント政策の基本理念のもとでイノベーションを促進するため(SANARI PATENT考察:プロパテントとプロイノベーションを同義と考えるか、一方を目的的に考えるか、流動してきたが、特許のための特許ではなく、換言すれば技術進歩のための技術進歩ではなく、社会経済システムに革新的便益をもたらすイノベーションの実現に結びつく特許発明であってこそ価値があるというのが、現在の考え方である)、「持続可能な世界特許システムの実現」、「特許システムの不確実性の低減」、「イノベーション促進のためのインフラ整備」の3つの観点から、13項目の提言がなされた。
2-4 特許制度の歴史的経緯: 知財システムの中核をなす特許制度は、明治18年に公布された専売特許条例から124年、現行法である昭和34年法の制定から50年を経る。この間、国内外の環境変化や制度利用者の要請に応じて累次改正したが、特許法の根幹部分は変更されていない。
 一方、欧米、アジア諸国でも、特許制度に関する議論が活発化し、プロパテントからプロイノベーションに向けて特許制度の基本設計を見直すべき時期であり、国際的な議論をリードするためにも、これが必要である。
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