2009年8月9日日曜日

UNICHARM Wins at IP High Court against JPO Decision 

ユニ・チャームの「尿取りパッド発明」特許出願拒絶査定支持審決を知財高裁が取消(2009-07-30判決)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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1. ユニ・チャーム(東証1部)の業績は、世界金融不況とは全く関わりなく、会社四季報は「最高益」という見出しで、海外向け「おむつ」伸び盛り、生理用品好伸び、紙おむつ等の需要増見込まれるインドとロシアに新工場設立、今期ない稼働メド、ロシアから東欧へも展開視野と評価している。その製品が国内の高齢化に即応すると共に、巨大人口の新興国でも歓迎され、現在の海外比率37%が急拡大すると想像される。
2. 「おむつ」については尿もれの防止が課題だが、特に男性用は、ペニスの存在と、その安定のさせ方が問題になる。(楽天ブログなどではペニスという用語は使用禁止かも知れないが、今次知財高裁判決はペニスのカタカナが百回近くも出現する中心的課題であるので、知財判決研究上は記載やむを得ずと了承されたい。
3. さて表題の本件は、ユニ・チャームが特許出願したところ、特許庁から拒絶査定を受けたので、これを不服として審査請求をしたが、特許庁が請求不成立の審決をしたことから、特許庁長官を被告として、その取消を知財高裁に求めた事案である。知財高裁は原告ユニ・チャームの請求を認容して審決を取消し、訴訟費用を被告特許庁の負担とする判決を言い渡した。
4. SANARI PATENT流に、知財高裁の判決理由を要約すれば、「ユニ・チャームの発明にはペニスを「おむつ」の中で安定的に位置させる技術的創作がなされており、進歩性新規性が認められるのに、特許庁の査定と審決は、従来技術と同一ないしこれから想到容易な着想であるとして、進歩性・新規性を否定し、従って特許性を否定した誤りがあるので、これを取消すというものである。
5. 知財高裁は「当裁判所の判断」として次のように述べている。「ペニスが開口部から外れにくいようにするという効果を得るために、「開口部の周囲の領域の積層体」が、「袋体の他の領域」と独立して変形し易いようにする必要があり、そのための工夫が、この発明における「開口部を囲む領域とこれ以外の領域との境に液吸収体を薄くし又は吸収液体を除去し
た変形境界部を形成すること」であると解すべきである。」
SANARI PATENT所見
 最近の知財制度改革論のうちには、法的安定性の確保と称して、知財訴訟による権利の変動を無くすることが望ましいとする論述が多い。場合を分けて、緻密な議論をすべきである。
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