2009年8月18日火曜日

The Difference of Uses by Same Medicine 

医薬用途の相違についての考え方(審査基準改訂案)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 (承前2009-08-17記事)上述したように、有効成分が同一であっても、医薬用途が異なる場合は新規性が否定されないから、「医薬用途の相違についての考え方」が明確でることを要する。今次改訂案は次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
(a)  請求項に係る医薬発明の医薬用途と、引用発明(SANARI PATENT注: 従来技術)の医薬用途とが、表現上異なっていても、出願時における技術常識を参酌すれば、以下の(ⅰ)又は(ⅱ)に該当すると判断される場合は、請求項に係る医薬発明の新規性は否定される。
 (ⅰ)その作用機序から医薬用途を導き出せるとき
   例えば、「引用発明→本願発明」において、気管支拡張剤→喘息治療剤、血管拡張剤→血圧降下剤、冠血管拡張剤→狭心症治療剤、ヒスタミン遊離抑制剤→抗アレルギー剤、ヒスタミンH-2受容体阻害剤→胃潰瘍治療剤
 (ⅱ)密接な薬理効果により必然的に生じるものであるとき
   例えば、強心剤→利尿剤、消炎剤→鎮痛剤
  上記(ⅱ)の例において、医療の分野では、二以上の医薬用途を必然的に有する化合物等があるが、必ずしも、上記(ⅱ)の例に該当する第一の医薬用途を有する化合物等の全てが第二の医薬用途を有すると限らないことも認識されている。従って、このような場合に、請求項に係る医薬発明の新規性を考える場合には、当該化合物等の構造活性相関等に関する出願時の技術常識を勘案する必要がある。
(b)引用発明の医薬用途が請求項に係る医薬vtの医薬用途の下位概念で表現されているときは、請求項に係る医薬発明の新規性は否定される。
   例えば、抗精神病剤→中枢神経作用剤、肺癌治療剤→抗癌剤
(c) 引用発明も医薬用途が請求項に係る医薬vtの医薬用途の上位概念で表現されており、出願時における技術常識に基づいて、引用発明の医薬用途から、下位概念で表現された請求項に係る医薬用途を導き出せるときは、請求項に係る医薬発明の新規性は否定される。(改訂案は、ここの注記して、「概念上、下位概念で表現された医薬用途が、上位概念で表現された医薬用途に含まれる、あるいは上位概念で表現された医薬用途から下位概念で表現された医薬用途を列挙することができることのみでは、下位概念で表現された医薬用途を導き出せるとはしない」と定めている。(以下次回)
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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