2009年8月27日木曜日

WTO TRIPS Agreement Concerning Patent Utilization 

裁定実施権制度をめぐる国際協定、リサーチツール等の諸問題
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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31.(承前2009-08-26記事)現行の裁定実施権制度については、公益上必要な場合の裁定以外は不要ではないか。ライセンス交渉を有利に進める材料として裁定制度の存在が利用され得るが、現実には裁定制度そのものまで利用するニーズはあまり無い。リサーチツール(実験用の動物や実験装置・機器・データベース、ソフトウェアなど、研究のため必要とされるあらゆる技術をいう)についても、自動的に裁定の対象にまでする必要はない。(SANARI PATENT考察: 裁定制度は、実施権の設定を強制する制度であり、わが国の特許法では3つの場合について規定されている。「公共の利益のため」「後願発明者が通常実施権の設定を求める場合」および「特許権者が婦実施の場合」である。WTOのTRIPS協定に、強制実施権について、国内法令で定める場合に遵守しなければならない条件を規定していることには、特に留意する必要がある。なお標準化については、製薬工業界において特に問題であったが、現時点ではRAND条項の採択に合意している。)      
32. 他国の強制実施権制度に関する政策への影響などを考慮すべきである。
33. 裁定は、行政が行うものとして導入されたもので、裁判所が裁定を行ってよいのか疑問がある。
34. 特許権の効力の例外範囲である「試験・研究」に何を含めるかについて、具体的には、リサーチツールの使用、他社が特許権を有する医薬の研究などについて含めるべきである。
35.  リサーチツールを使う側と開発する側のインセンティブとのバランスを調整すべきである。なお、大学では実際には問題になっていないのではないか。
36. 判例の積み重ねにより例外範囲が明確になるよう運用し、そこで問題があれば法改正を検討すべきである。
 前回に追記:
eBay判決(2006)に示された、米国連邦最高裁の「差止めを認めるかを判断する際の考慮事項(4つの要素)」
(1) 侵害を放置した場合、権利者に回復不能の損害を与えるか。
(2) 損害に対する補償が、金銭賠償のみでは不適切か。
(3) 両当事者の困難を勘案して、差止めによる救済が適切か。
(4) 差止めが公益を害することはないか。
(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)

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