2009年8月31日月曜日

Unsolved Disputes on the Invalidity of Patent

特許無効紛争の一回的解決
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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民主党の衆院単独絶対安定多数が確定したが、同党・菅 直人議員の弁理士資格が、知財振興に寄与することを期待する(2009-0830夜半)。

56.(承前2009-08-30記事)キルビー最高裁判決および特許法104条の3は、紛争を一回的に解決することが望ましいという理念に基づく。(SANARI PATENT考察: ここに引用している「キルビー最高裁判決」は、最判平成12年4月11日第三小法廷平成10年(オ)364号をいい、「キルビー特許事件」又は「富士通対テキサスインスツルメンツ社・損害賠償請求権不存在確認訴訟事件」と呼ばれている。キルビー特許、いわゆる275特許事件の上記最高裁判決は、「無効審判が確定していない場合においても、その特許に無効理由が存在することが明らかであるときは、特段の事情がない限り、その特許権に基づく差止めや損害賠償の請求は権利の濫用に当たり、許されない」とするものである。すなわち、裁判所の侵害訴訟手続中での無効判断を認めたものである。また、特許法104条の3は、平成16年裁判所法の一部改正法によって新設された条文で、「特許権等の侵害訴訟において、その特許が特許無効審判によって無効にされるべきものと認められるときは、特許権者等は相手方に対してその権利を行使することができない」とされ、被疑侵害者に特許無効の抗弁が認められた。)しかし、侵害訴訟の被告の多くは無効審判も請求するため、2つのルートの利用によって紛争処理の結果の予測が困難になり、侵害訴訟が紛争解決システムとして機能しなくなっている。現行制度は、同じ証拠・理由であっても、侵害訴訟の被告に侵害訴訟の被告に特許を無効とするチャンスを二重に与えており、特許権者に一方的に不利な状況である。侵害訴訟か無効審判かのいずれかに絞るのではなく、104条の3によって生ずる特許権者のリスクを軽減する立法措置を講ずるべきである。
57. 制度としては、特許権の有効な範囲の迅速な確定と共に、シンプルで正確かつバランスのとれたシステムが望ましい。例えば、侵害訴訟提起後は、無効審判請求を禁止し、裁判官の進捗管理のもと、特許庁に有効性の判断を審理付託することを可能にし、侵害訴訟における特許無効の判断には対世効を持たせるべきである。特許無効の判断の効果は、将来にのみ及ぶとすれば問題ない。
58. 司法と行政の分担がきちんとなされていない。以前は特許権には法的安定性があったが、それがキルビー最高裁判決以降に壊れてしまっており、これを修復するかを議論の出発点とすべきである。
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