2009年3月10日火曜日

Patentability of iPS Relating Inventions, in Japan vs.USA 

ヒト機能細胞関連発明の特許性とその日米対比
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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3.(承前2009-03-09記事)「医療機器の作動方法」の特許性
3-1 現在、医療機器の作動方法の特許性については、医師の行為や、機器の人体に対する作用が含まれないことを条件として認めるものとしている。従って例えば、ペースメーカーによる心臓の電気刺激工程を含む方法や、人工眼システムによる患者の網膜を刺激する方法は、人体に対する作用工程を含むために、医療機器の作動方法ではなく、医療方法であると整理され、特許対象とできない。このような方法の発明を特許するためには、人体に対する作用工程を含む医療機器の作動方法を医療方法ではないと整理するか、医療方法自体を特許対象とすることについて、コンセンサスが必要である(SANARI PATENT考察: コンセンサスを付与する要件が先ず政策課題であって、自然科学的進歩性の問題でないことが理解できる)。   
3-2 そこで、医療機器の作動方法のうち、特に患者の各器官を測定する方法に着目して整理して見る。
3-2-1 MRIなどの医療機器を用いた人体の測定方法についても、人体に対する作用工程を含む測定方法については医療方法として整理している。
3-2-2 医師による病状の判断工程が含まれていなくても、病気の発見、健康状態の認識等の医療目的で人体の各器官を測定する方法については、医療方法として整理している。
3-2-3 人体から採取された後の細胞について、これを処理・分析する方法や、これを原材料として医薬品等を製造する方法については、特許可能であることを「産業上利用することができる発明」の審査基準に明記されている(SANARI PATENT考察:「産業」の範囲内か否かを分別することにより、特許性を分別していることは、一般国民の常識外であろう)。
3-2-4 ヒト機能細胞、すなわち、多分化能を持つ細胞を分化誘導して得られる神経細胞や心筋細胞は、医薬品または医療材料に該当するので、その分化誘導方法は特許可能である。このことは審査基準に掲げた事例から明らかと考えられるが、特許庁としては、必要に応じて審査基準の周知を図ることも検討する。

SANARI PATENT所見
 上記3-2-4には周知のiPSという語が出ていないが、まさに国際競争の焦点である。「周知」を図っても一般には理解が容易でないが、それはわが国においてであって、米国ではおよそ医療関係発明について特許性を制限していないので、「必要に応ずる」こともない。この相違が国際競争力の形成に及ぼす影響の有無が重要な問題である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.Com に送信下さい)
iPS、医療機器、特許審査基準、機能細胞、MRI

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