2009年3月11日水曜日

How to Determine the Patentability of Medical Methods 

特許審査基準における医療分野
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat

4.(承前2009-03-10記事)細胞由来製品の用途発明
 (特許庁発言)細胞や細胞由来製品の用途に特徴がある発明について、用途発明の基本的な考え方は医療分野に特有のものではなく、一般の審査基準に記載されているように、物の未知の属性を見出し、その物の新たな用途を見出したことに基づいている。細胞や細胞由来の製品自体は物として特許可能であり、その医療用途を用途発明として表現することによっても、特許可能である。このことは審査基準に明記されていないので、明記する必要があるか、検討したい(SANARI PATENT考察: 一般の関心も高まっている分野だから、「明記」ぐらい早速できそうなもの、すべきものと思うが)。

5.細胞や薬剤の使い方に特徴がある発明
  (特許庁発言) 細胞や薬剤の使い方に特徴がある発明、すなわち、時間や手順、投与量、移植場所などの細胞や薬剤の使い方に特徴がある発明は、物の未知の属性を見出した新たな用途の発明としては、現在は考えられていない。従って、その特徴を方法の発明として通常は記載しなければならないため、医療方法であるとして整理される(SANARI PATENT考察:「通常は」という限定が問題で、審査基準の事例を考察すると表現技術の問題と考えられるケースもあるが、出願者各自が研究するほかない)。
 例えば、塗布の手順に特徴がある血管接着剤、縫い方に特徴がある縫合糸用材料、移植場所の切開の仕方に特徴がある移植剤も同様と考えられる。これらの発明を特許するためには、時間、手順、投与量、移植場所等の、細胞や薬剤の使い方を医療方法ではないと整理するか、細胞方法を特許することについてコンセンサスを得る必要があると思われる。

6.その他の整理
 (特許庁発言)医師による、人体に対する機械・器具の使用方法については、医療方法として整理している。
 機械・器具については、物と用途が一体であることから、用途発明が認められることは通常はない。これらの発明を特許するためには、医療方法でないと整理するか、医療方法自体を特許することについて、Patentabilityのコンセンサスを得る必要があると考える。

SANARI PATENT所見
「医療方法自体は産業上利用ではない」、「医療方法自体の特許は国民の利益に反する」という旧来の考え方、および、審査基準改正によって医療関係の特許対象を規定し、拡大してきた制度設計をそのまま維持する前提で、上記の発言はなされている。これらを抜本的に再検討する議論は、現在の内閣知財戦略本部には見られない。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Patentability、細胞、医療、薬剤

ラベル:

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム