2009年1月21日水曜日

New Energy Policy by Obama vs. Japanese Government 

日米新エネルギー政策の今後の展開
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 Obama政権が今次金融対策として掲げる事業規模は、2009~2010の2年間において8250億ドル、約80兆円で、うち2750億ドル、約27兆円が新エネ等のインフラおよび環境整備事業に充てられ、300万人の雇用創出を担うものとされている。日本の今次金融危機対策事業規模は、2008年度補正予算と2009年度予算における計上額を合算して72兆円と説明されているから、金額規模からみれば遜色ないようにも見えるが、両国金額の中身が対比し難いので、ほぼ同等と解するほかない。

 しかし米国の場合、「太陽発電など新エネ事業によるインフラ整備による雇用創出のため」と先ず掲げられて、Green New Dealが顕在化しているのに比べて、わが国の雇用創出は「介護」が先ず掲げられ、雇用吸収を社会福祉に求めている印象が強い。

 一方、経済産業省の総合エネルギー調査会総合部会の「エネルギー供給構造の高度化案」(2009-01)は、「エネルギーの安定供給、国民経済の発展、生活の安定」のため化石エネルギー源への依存度を代エネ(一応、新エネと同義と解しておく)によって軽減することを目的としているが、国の役割としては、「エネルギー供給構造高度化が実現するためには、エネルギー供給業者における相当の投資や取組が必要となることから、単にエネルギー供給業者に任せるのみでは実現困難な場合がある。従って、官民一体となって取組むべき必要のある課題と考えられることから。国や地方公共団体も一層の役割・責任を分担すべきである」と述べ、「目標・タイムフレームの設定」、「セクターを超えた取組」、「競争条件の公平性確保」などを例示するにとどまっている。

 しかし、この案作成時の状況は激変し、化石エネルギー源価格の急落はエネルギー節約志向を緩和すると共に、新エネ開発の目標コストを激減させ、計画中断の危機を招いている(産油国業者の中には、原油価格低落による一時的減収よりも、新エネ開発の断念を可とする業者もあるという評論も見受けられる)。

 わが国で新エネ関係の特許公開件数が例えば、太陽光発電2290件、バイオマス1028件など(いずれも2009-01-20現在)活発であることに徴しても、エネルギー供給源の多様化に対する業界の熱意は高いが、ガソリン課税や二酸化炭素価格の高価誘導による新エネの相対的優位性現出の可能性と安定性は不確実と考えざるえを得ない。

SANARI PATENT所見
 経済産業省案「1.代エネ関連施策について」を「新エネ関連施策について」と改め、その結びに下記のように付加することが適切と考える。
「これまでの政策を見直すに際しては、次の事項に重点を置くものとする。
(1)  新エネの開発・活用のシステム構築を、エネルギー供給確保の公共インフラとして、国が主体となる公共事業として展開すること
(2)  上記展開において、新エネの実用化に必須な特許技術開発にについて、優先出願審査などの促進対策を講じ、国際競争力の強化に資すること
(3)  消費エネルギーの形態を原則として電気エネルギーとするなど、エネルギー消費構造の変革と、これに対応ないしこれを必要とする社会システムの変革について、構想を示すこと。
(4)  バイオエネルギー開発と食料競合資源との需給調整、水力・地熱開発と自然・観光との調整、風力発電による低周波音による健康被害の防止など、環境と生活との相剋について、解決の技術的方策を示すこと。
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Obama、Green New Deal、新エネ、電気エネルギー

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