2008年6月10日火曜日

DS-Pharma Co. Reports on Oversea R&D and License Lawsuit:: 大日本住友製薬株式会社の今次事業報告における業績好調、開発費著増、開発訴訟経過
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 村田製作所のセラミックコンデンサ(2008-6-9記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ キッコーマンの米国新ラボ開設発表(2008-6-9記事)

 大日本住友製薬の今次事業報告(2007-4-1~2008-3-31)が届いた。連結売上高が2640億円(前期比1.1%増)、当期純利益254億円(12.8%増)と順調であるが、SANARI PATENTの関心事としては、「ライセンス訴訟の経緯」と「海外研究開発の積極的展開」が先立つので、両項目の報告内容を要約・考察する。

1. 係争に関する報告内容
 「大日本住友製薬は、ニューキノロン化合物のライセンス契約の解除をめぐり、湧永製薬株式会社との間で係争中である。大日本住友製薬は1998-6に湧永製薬との間でニューキノロン化合物の開発、製造および販売に関する独占的ライセンス契約を締結し、抗菌剤としての開発に着手したが、2002-5に大日本住友製薬はニューキノロン化合物の開発中止を決定し、おの後、ライセンス契約を解除した。これに対して湧永製薬は2002-7-22に、大日本住友製薬がライセンス契約を不当に解除したとして、大阪地裁に50億円の損害賠償訴訟を提起し、大阪地裁は、1999-3-16に、湧永製薬の請求の一部を認容し、8億9千万円の支払いを大日本住友製薬に命じる判決を下した。大日本住友製薬と湧永製薬は、それぞれこの判決を不服として大阪高裁に控訴している。」(SANARI PATENT注:ニューキノロン剤は広域に抗菌力が及ぶとされてきた)

2. 海外における研究開発に関する報告内容
2-1 統合失調症治療剤の海外臨床試験が本格化(第Ⅲ相)した。
2-2 糖尿病・循環器、精神神経、炎症・アレルギー領域を研究指向領域として、独創性の高い国際的に通用する医薬品を開発すべく、国内外の大学を含む研究機関や革新的な技術を有するベンチャー企業とのアライアンスを進めている。
2-3 糖尿病合併症治療剤について、エーザイに海外の開発および販売権を付与しており、エーザイと緊密に連携して、世界で早期上市する。

3. SANARI PATENT所見
3-1 オープンイノベーションが現在、わが国を含めて先進諸国の経済政策・知財戦略であるから、ライセンスの活発化もその方向性に即応するが、研究開発戦略の臨機応変や基本戦略革新への新たな契約法的整備を、国内外にわたって必要とする趨勢にある。
3-2 大日本住友製薬は、米国での自販体制を構築するほか、動物用医薬(転用を含む)(わが国だけでも、子供の人数を上回るペット数と贅沢度)、機能性食品の開発に注力し、海外研究開発費の増加を上回る収益体制を構築している。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
DS-Pharma、大日本住友製薬、湧永製薬、統合失調症治療剤、糖尿病

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