2014年6月19日木曜日

知財戦略の在り方、ソニー対アップルで論説した松本普一氏(ダイヤモンドオンライン)


弁理士 佐成重範 Google検索 SANARI PATENT(企業の知財戦略研究)
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わが国で、知財戦略の優劣が知的財産権の法的設定保護流通に局限して議論され勝ちであることは。特許出願件数や特許権取得数、休眠特許権数などの多寡に注目が偏向していることからも明らかだが、知財行使のタイミング戦略こそ重要、という思考を提起した松本普一氏の標記論説「ソニーの背中を見ていたアップルが何故王者に? 日本企業に足りない先行者不利益という戦略的思考」は、「知財戦略」の幅と深さの拡大深耕こそ重要という警鐘を響かせた卓見として注目すべきである。以下その要旨を引用する。
1. 現在ソニーは、かっての輝きを失い、慢性的赤字経営で、看板事業の一つであったVAIOの事業売却も決定し、創業者が関わった伝統事業のテレビも子会社化して、資産切り売りの延命経営と揶揄されている。
2. しかし、真にイノベーティブな企業はソニーだった、アップルはソニーの背中を見ていた、と言う言い方もできるのか?(SANARI PATENT注;単にイノベーティブであるだけでは戦略として成功しない、背中を見て後発する戦略が成功す
る、という発言と解する。ただし、「イノベーティブ」の意味を技術革新と、狭く解している場合であって、イノベーションは、実は、社会的革新に繋がる技術革新のみを指称すべきである。)
3.アップルのジョブズはソニーの新製品を見て、「大丈夫。そう長くは続かない。市場が受け入れるまでには未だ時間がかかる。消費者の反応をゆっくり観察させてもらうよ」と呟いていたと思う。メモリーディスク・ウォークマンより2年も遅れたiPodが何故成功したか。ソニーはインターネット対応のケータイ用音楽端末を発表したが、ソニー・ミュージックなどの反発もあって、楽曲の著作権を過剰に保護せざるを得なくなった。結果として余りにも使い勝手の悪いサービスになってしまった(SANARI PATENT注;知財戦略が総合戦略知財として機能するためには、知財全般の戦略に総合性が付与されなければならない。米国著作権法は権利保護期間においては日本より長いが、パブリックユース等に関する著作権の強度緩和の極めて実用的な規定があるが、日本の著作権法は、内閣知財本部の数次にわたる慫慂にも関わらず、適切な法改正に踏み切らず、知財戦略の総合性を欠いている。)
佐成重範弁理士所見→上記要約は序の口だから、標記ダイヤモンドオンライン所説(2014-06-18)を、知財戦略のモデルとして全文熟読すべきである(特に、市場投入のタイミングのノウハウは、知的財産権を超える高度の知財である。また、アップルのiWatch商標登録の時点についても、その対象品目と共に、戦略の総合性が見られる。先発者利益か後発者利益かの視点も述べているが、両者の使い分けのノウハウこそ練達すべき戦略内容である。)
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