2012年7月10日火曜日

マンションの管理ビジネスモデルにおける区分所有者と不居住所有者


増大する都心マンション人口、不居住所有者の漸増と管理遊離

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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佐成重範弁理士の友人A君は、戸数21の、戸数では小型だが、平均床面積80平方メートルの、比較的上等な副都心Bマンションに、その新築以来、住んでいる。築後、20年だが、大手S建設の工事に成り、行き届いた設計である。

当初、全居住者(21世帯主)が区分所有者だったが、この20年間に、7戸が不居住所有者、14戸が居住マンション所有者となった。その結果、久しぶりにBマンション管理組合の理事長に選任されたA君は、様々な新課題に直面することとなった。

先ず年1回の通常総会だが、管理組合の組合員は、「Bマンションの区分所有者」だから21名である。この20年間に7名が不居住の所有者になった。つまり、他人に貸して転居したのである。Bマンションの管理規約は、役員の資格を居住所有者に限定しているから、役員改選において候補者たり得るのは、居住所有者14名のうち、総会当日の出席者(就任承諾を要するから)だが、出席者は半数7名だった。不居住所有者は全員欠席だった。欠席者14名のうち4名は委任状を送付してきた。

総会の定足数は、過半数11名だから、「出席7+委任4」で総会は成立したが、全員参加の総会理想型には、程遠い。しかし、三井不動産・三菱地所・丸紅・東急のような大企業の子会社のマンション管理会社に管理を委託しておけば、理事監事の役員職は「暇な人」に任せて、自分は煩わせられたくないという所有者が大部分になった。特に都心マンションの住人は、平素、本職多忙だし、貴重な休日は家族と仲良くしたい→管理はお任せ、管理からの遊離願望。

Bマンションの役員は理事5名、監事2名の計7名だが、上記のように被選資格者が7名だから、人事は極めて固定的になる。最近、国土交通省は、役員資格を不居住の所有にまで拡大しても良い、すなわち、そのように管理規約を改正してもよい」という標準管理規約改正を行ったが、不居住所有者は賃貸料と管理費等(管理費・修繕積立金・固定資産税等の維事費用)の差額を収入とするのだから、居住所有者との意識とズレを生ずる場合が多い。例えば、耐震工事のための修繕工事の規模など。

それよりも先ず、管理規約改正要件は、4分の3多数決だから、定足数16名であるのに、あと5名の出席または委任を得ることは困難で、改正自体の見通しが立たない。欠席者が委任しないのは、出席は勿論煩わしいが、委任して現役員の思うままにさせることは、管理費・修繕費の値上を含めて、自己の好まぬ決定を無制限に認めることであり、そのような意思表示をすることは、後日、自己の権利について訴求する妨げになると予感するからで、当然である。

要するに、役員の輪番制的・総員順次就任の理想型(みんなが関与)が、その基盤を失いつつある。Bマンションは小型で、マンションの平均戸数は65前後だが、ここには問題の典型的事例を提示したのである。

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