2012年4月30日月曜日

IT特許紛争のビジネス化

IT分野で大企業間・特許訴訟ビジネス


弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT

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特許庁が特許出願・登録件数の日米欧中韓国間の比較から、日本勢の「踏ん張り」を評価しているが、米国では予ねてより、IT分野の特許権訴訟ビジネスが「トロール」ビジネスとして活況を呈し、反面その弊害が社会経済問題化してきたことは周知ながら、IT特許の流通取引自体は法的に否定できない。

「トロール」業者は、特許権の実施は目的としない、いわば中小企業だが、米ヤフーとフェイスブック間の特許訴訟が超大企業のビジネスとしても見られるに至って、IT特許訴訟の帰趨は全世界の注目を浴びることとなった。

ITのプログラム分野は、新薬創出を含む製造工業の発明ほどに試験研究設備の巨額を要さず、いわばアイデアとしての進歩発明が現出可能だから、従来技術に対する進歩性・新規性の程度をいかに特許性要件充足に繋げるか、頻々と問題化する素質を持っている。

今次、米ヤフー・フェイスブック間の特許訴訟について、例えば朝日新聞は「訴訟合戦」と見出し、米ヤフーについては「和解金狙いの見かたも」、フェイスブックについては「特許少ない弱み露呈」と副題して、特許訴訟のビジネス性を浮き彫りにした。その内容(SANARI PATENT要約)は、

1. 訴訟沙汰に持ち込んだのは米ヤフーで、「フェイスブックが、ネット広告やプライバシーを保護する技術など10分野で特許権を侵害した」として2012-03に損害賠償請求訴訟を提起した。

2. フェイスブックはこれに対して、「米ヤフーの主張は不当」として棄却を求めると共に、2012-04に逆訴を提起し、「米ヤフーこそが、交流サイトに投稿した写真を友人と共有し易くする技術など、フェイスブックの計10の特許権を侵害した」と主張している。

3. 今次訴訟について、米ヤフーの「計算された訴訟」という見方もあり、2004年び米グーグルから特許料の名目で、約250億円の和解金を取得した前例を挙げている。

4. 一方フェイスブックは、IT企業としては、米ヤフーの特許権保有数約3000件に対して、数百件に過ぎず、特許訴訟戦略上、不利であるから、現在、特許権・出願権の買収に努めている。

佐成重範弁理士所見→内外の特許権訴訟を通じて、特許要件該当性の判断について進歩性の程度や技術の同一性など、判断基準の一層の明確化が期待される。

(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 米ヤフー フェイスブック

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