2011年10月13日木曜日

「炭都饅頭」の商標出願、知財高裁で出願人が対特許庁長官勝訴

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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商標権は、創作権としての特許権に対して識別子権に分類され、ブランドの核心として、自他識別と出所明示の、企業利益・消費者等保護の極めて重要な機能を有し、知的財産権価値が極めて高く評価される場合も多い。従って、商標権の付与適格性が、個別案件について争われる場合も多いが、「炭都饅頭」の商標登録出願をめぐって、特許庁の拒絶査定に対して出願人が不服審判請求し、特許庁が「請求不成立」と審決したため、出願人は知財高裁にこの審決の取消を訴求し、知財高裁は、出願人の請求を認容して、特許庁の審決を取消すと共に、訴訟費用は、被告・特許庁長官の負担とすると判決した(2011-10-11:平成23行ケ10174審決取消請求事件)。
原告(訴訟代理人・三浦誠一弁理士)の名は、裁判所HPでは「X」と表示しているが、特許庁HPでは江戸健二郎氏(福岡県大牟田市)と明記されている。
特許庁は、出願商標「炭都饅頭」と引用商標(既存商標)「TANTO タント」(両商標の表示はR Site2011-10-13をご参照)を対比して、出願商標が引用商標に類似すると判断し、登録拒絶の査定・審決を行ったが、知財高裁は「類似」判断を否定して、審決を取消した。類否の両者理論を考究することは、商標権の取得・維持のため重要である。本件知財高裁判断(SANARI PATENT要約)は、
(1) 本願商標は、漢字である「炭都饅頭」の4文字を江戸文字の書体で縦1行に、まとまりよく記して成る外観を有し、一方、引用商標は大文字の英文字である「TANTO」の5文字と、片仮名である「タント」の3文字とを、ゴシック体ないしこれに類する書体で、横2段書きして成る外観を有するから、両商標の外観は大きく異なる。
(2) 特許庁は「本願商標の文字の書体は、ありふれたもので、取引者や需要者は、筆書き風の書体で記したものと認識するに止まる」と主張するが、江戸文字は、骨太で威勢の良い江戸歌舞伎の感性を意匠化すべく考案され、通常の筆書きより強い印象を与える。
(3) 「炭都饅頭」の構成のうち「饅頭」の部分は、和菓子の一種を示す普通名称であって、「饅頭」の文字だけでは自他商品識別力が希薄だが、本願商標からは先ず、「タントマンジュウ」との呼称が生じると言うべきである。「炭都」の部分が要部となるとすることはできない。
(4) 引用商標は「沢山の」という観念を生じさせるもので、本願商標から生じる観念と、明らかに異なる。
佐成重範弁理士所見→ 商標の識別機能において、聴覚識別と視覚識別が併存するが、「タントマンジュウ」が普及していた場合に、「炭都饅頭」が出現したような場合を仮想すれば、「タントマンジュウ」の漢字表記と誤認される惧れも考えられるかも知れない。今次知財高裁判決は、諸般の場合を広く検討して判断している。なお、表意文字の国と表音文字の国では、視聴覚の各識別に留意しないと、日本のカタカナ商標が、同発音の表意文字商標で模擬される。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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