2011年10月7日金曜日

日東電工が対特許庁勝訴:重畳フィルム等発明の特許性、知財高裁判決

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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日東電工は、テープ類から総合材料メーカーに発展し、液晶用光学フィルムで成長、ニッチ商品で首位多数である(会社四季報)。日東電工は、その発明「液晶表示装置用重畳フィルムの製造方法、液晶表示装置用重畳フィルム及び液晶表示装置」について特許出願したが拒絶査定されたので、特許庁に対して不服審判請求したが、「請求項不成立」の審決をされ、この審決の取消を知財高裁に訴求し、知財高裁は日東電工(本件訴訟代理人・山丸光一郎弁理士ほか)の請求を認容し、上記特許庁審決を取消した(判決言渡2011-10-04:平成22行ケ10235審決取消請求事件)。
本件発明の特許請求の範囲(SANARI PATENT要約)は、
(1) 「長尺のポリマーフィルムから成り、軸方向に吸収軸を有する偏光フィルムの製造工程」「同じく、長さ方向に遅相軸を有する縦一軸延伸位相差フィルムを準備する工程」「この偏光フィルムと位相差フィルムの積層工程」を含む、
(2) この偏光フィルム製造工程において、前記長尺のポリマーフィルムに軸方向の延伸処理と二色性物質の染色処理を施す、
(3) 上記(1)の積層工程において、前記偏光フィルム・位相差フィルムを、長尺のポリマーフィルムの長さ方向を対応させ、接着層または粘着層により直接接着または粘着して積層させる、
液晶表示装置用重畳フィルムの製造方法。である。
特許庁がこの発明について特許性を否定した理由は、この発明が、先行発明・先行文献に記載された事項を組合せることにより、当業者が容易に発明することができたものであるから、進歩性を欠くことである。
知財高裁は、「先行技術文献には、長尺のポリマーフィルムを横方向(幅方向)に延伸して偏光フィルムを作製する一方、位相差フィルムは縦方向(長手方向)に延伸して作製する工程についても記載されていると見ることは困難である」等と認め、先行技術には日東電工のこの発明を示唆するものを欠くから、当業者が、先行技術により日東電工発明内容の創意工夫を容易になし得たかは極めて疑問であるなどの判断を示し、日東電工の本件発明の特許性を認めて、特許庁審決を取消した。
SANARI PATENT所見
特許性の認定について、特許庁の判断と知財高裁の判断が相異する判決が続出しているから、論点を精緻に学習すべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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