2008年12月1日月曜日

TV Asahi etc. Wins at IP High Court  

講談社、テレビ朝日らが著作権侵害損害賠償請求事件・知財高裁勝訴(2008-11-27判決)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 数零占いの簡易暦に関する著作権をめぐって、講談社・テレビ朝日らに対する損害賠償請求控訴が知財高裁に提起されていたが、知財高裁は控訴人(原告)の請求を認めず、講談社・テレビ朝日らによる著作権侵害を否定した(下注)。
 数零(かずたま)については、それと陰陽の関係をなすとも言われる言霊(ことだま)は、萬葉集に「言霊の幸おう国」として現れ、現在も流行している占星暦と同様、数霊占い術も、出版物やテレビで愛用されているようである。

 今次事件で原告Xは、その数零簡易暦に関する自著書籍の著作権が、講談社およびテレビ朝日の同様主題出版物によって侵害されたとして、侵害を認めない原判決の取消、1億数千万円の損害賠償、謝罪広告等を知財高裁に控訴してが、旧暦に基づく算出、命数の算出法、数零盤の数の展開、破壊数の説明、数字の印の付け方などについて、知財高裁は詳細に対比している。

 争点は例えば、原告は、「原告の著作物は命数の算出法というアイデアを、文章ではなく足し算の数式を用いる方法により、具体的に分かり易く表現している点で、表現上の創作が認められるが、講談社・テレビ朝日らの書籍にも足し算数式を用い、実質的に原告書籍と同一であるから、著作権侵害に当たるとし、被告講談社・テレビ朝日らは、「原告書籍と被告書籍の共通点の一つは、いずれも旧暦に従って毎年の立春から翌年の節分までを1年として区分することであり、これは、抽象的な方法またはアイデアに過ぎず、占いにおいて旧暦を用いることは、ありふれたことである」などと主張した。また被告は、「原告書籍の本質的特徴を、被告書籍において直接感得することはできない」と主張した。

 知財高裁は両書籍を対比し、被告著作の翻案性・複製性を否定し、原告の請求を斥けた。

SANARI PATENT所見
 今次争点を一般問題化して考察すると、パブリックドメイン化による再創造促進の課題に到達する。ネットワークによる1億総クリエータの時代には、星占いや数占いなども含めてパブリックドメイン化した思想を、表現の工夫によってコンテンツとしての価値を高めることへの評価がなされるべきであると共に、著作権対象とする表現の工夫は、保護に値する創作性を持つものでなければならない。
(注)2008-11-27知財高裁判決。平成20年(ネ)10058損害賠償等請求事件・原審 東京地裁平成19年(ワ)31919
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TV Asahi、講談社、IP High Court、数零簡易暦、著作権

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